黒木華「海外にも挑戦したい」、ベルリン映画祭銀熊賞受賞の凱旋会見。

2014/02/17 17:59 Written by Narinari.com編集部

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第64回ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞にあたる銀熊賞(Silver Bear for Best Actress)を獲得した女優・黒木華(23歳)が、2月17日に帰国記者会見を開き、受賞の喜びを語った。

会見の一問一答は次の通り。

Q.女優になる前に憧れていた女優さんや、今目標にしている女優さんはいらっしゃいますか。また、今回賞を獲ったことで、これから黒木さんが女優として活動していく中で変わったことや励みになるようなことはありましたか?

A.大好きな女優さんはやっぱり松さんなので、その松さんと一緒に出ることのできた映画というのも私はすごく嬉しいですし、松さんも喜んでくださっているようなので、それがすごく嬉しいです。これを頂いたことは、私の人生にすごく大きなことで関わってくるとは思いますが、あまり変に気にせず、自分自身のペースを持ってこれからも頑張っていけたらいいなと思います。

Q.日本人最年少での受賞という点についてはどのように思われていますか?

A.おお!(笑)信じられないと思いました。本当にこの役をやらせていただいて、運が良かったなと思います。素敵な女優さんの中に名前を挙げていただけて、頑張らなきゃなって思います。

Q.次こんな賞を獲れたらな、というのはありますか?

A.獲れたらなんでも嬉しいですけど(笑)、でもやっぱり賞というよりも、作品がいろんな方に評価されたり、「好きだ」って言ってもらえることの方が私は嬉しいです。

Q.演じるときに気をつけていることなどがあれば教えてください。

A.そうですね…できるだけフラットでいれるようには気をつけているかも知れないです。あまり自分で気持ちを固めたりとかせず、たくさんの方が関わっているものなので、周りの方と話をしたり、「自分の気持ちが凝り固まったりしないようにしよう」といつも心がけています。

Q.某朝ドラの方も某研究者の方も割烹着で、最近割烹着の方がたくさんいらっしゃいますが、黒木さんは割烹着着た方が活躍されていることに何か思われることはありますか?

A.そうですね…(笑)。この割烹着をいただいて、家で料理するときとかに使っているんですけど、やっぱりすごく便利で、お腹も冷えないし、服も濡れないし、みんな使えばいいのになって思います(笑)。

Q.公式上映の時には、山田監督と一緒に世界中から集まったお客様と映画をご覧になったと思うんですが、日本とは違う反応などはありましたか?

A.すごく特別な空間にいさせてもらったなと思いますね。やっぱり素直な反応を間近に見れたので、タキちゃんがお見合いをして奥様に「鉄砲当たらなくても死んじゃうわよ」って言われているところとか、みんなすごく笑ってくださったりとか。そういうところを見ていて感じるのがすごく嬉しくて、会場が一体になっている感じがして、監督もそれを感じてらっしゃったようで、すごく良い試写でした。すごく嬉しくて、本当に感動してしまいました。上映が終わった後の拍手がとても温かくて、「ここに来れてよかったな」と心から思いました。

Q.今回の作品は黒木さんの知らない昭和の時代の作品でしたが、苦労した点や大変だったことはありますか?

A.着物で色々な所作をするというのが一番難しかったかなと思います。普段着物を着て過ごすということがないので、昔の女中さんがやりなれているようにできるように、日常で着物を着たりとか、たすきがけをしたりとか…。「女中訓」を読んで女中さんの生活を勉強したりしました。

Q.ベルリンで世界を見て、視野も広がったと思いますが、海外の作品に興味が湧いたり、活動の幅を広げてみたいというお気持ちはありますか?

A.それは、もともと変わらず、お芝居自体が好きなので海外で出させていただける機会があればどんどんチャレンジしていきたいですし、色んな監督さんを見ることができたので、遠かったもの、夢の中にしかなかったものが目の前にある、というのを経験できたということは、たぶんちょっとずつ変わったのかなと思います。そういう機会があれば頑張りたいと思います。

Q.夢というものがビジョンとして見えてきましたか?

A.ちょっとだけですかね。まだまだ自分は英語も喋れないので勉強しなきゃなとも思いましたし…。ほんの少しだけですけど、でもこの経験は自分にとって大きかったなと思います。

Q.山田監督から、今時の女性じゃないと言われたことは、どんな心境ですか?

A.自分が自分自身で今時じゃないと思っているわけではないですし、でも、監督からそう見えるっていうことに、そう思っていただけて嬉しいなとも思います。そのおかげでタキちゃんができたので、「やったな」って思います。

Q.では、今後も“今時じゃない”というその路線は変えずに?

A.自分で意識しているわけじゃないので…。私、普通に今時ですよ?(笑)。


◎「小さいおうち」とは

山田洋次監督の82作目となる最新作。2010年に直木賞を受賞したベストセラー、中島京子さん原作の同名小説を映画化した作品で、昭和初期、東京郊外に佇む赤い屋根の家に奉公した女中タキが見た、ある“恋愛事件”が描かれる。

タキが封印した“秘密”が、60年の時を経て紐解かれていく本作。50年以上にわたって、“家族の絆”を描いてきた山田洋次監督が、本作では初めて“家族の秘密”に迫る。家族の温かさを見つめ続けたその目で、更に深く、人間の心の奥底に分け入り、その隠された裏側までも描きだした、切なくもミステリアスな物語だ。


◎「小さいおうち」ストーリー

昭和11年。田舎から出てきたタキ(黒木華)は、東京郊外に建つ少しモダンな、赤い三角屋根の家で、女中として働きはじめる。そこには、優しい奥様・時子(松たか子)と旦那様・雅樹(片岡孝太郎)、可愛いお坊ちゃんが穏やかに暮らしていた。しかし、一人の青年(吉岡秀隆)が現れ、時子の心があやしく傾いていく。ひそやかな恋愛事件の気配が高まる中、時子を慕い、家族を見守るタキは、一つの選択を迫られることになる。

それから、60年後の現代。晩年のタキ(倍賞千恵子)が大学ノートに綴った自叙伝には、“小さいおうち”で過ごした日々の記憶が記されていた。数年後、この世を去った彼女の遺されたノートを読んだ親類の健史(妻夫木聡)は、遺品の中から、一通の宛名のない手紙を見つけ、長く封印され続けた、ある“秘密”の真相へとたどり着いていく。

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