“壁一面マリオ”小学校に行ってみた、校舎に描かれた壁画の意味。

2013/12/03 18:38 Written by Narinari.com編集部

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11月24日、写真共有コミュニティサイトFlickrに投稿された中国発の一枚の写真が話題を集めた。それは、とある小学校の“マリオ壁画”。これは校舎の壁を使って“マリオの世界”を再現したもので、マリオはもちろん、クリボーやパックンフラワー、トゲゾーなど、シリーズおなじみのキャラクターたちが描かれた、実に楽しげな壁画だ。そこでナリナリドットコム中国特派員は実際に現地を訪問。現場の雰囲気をお届けする。

同地を訪問したのはある日曜日の夕方ごろ。広東省深セン市の地下鉄羅宝線「宝体」駅から徒歩約15分の場所にある小学校だ。「宝体」とは宝安体育場(館)の略で、その名の通り、一帯はスポーツ関連施設が溢れている。元日本代表監督のフィリップ・トルシエ氏が監督を務めるチーム(中国2部リーグ)のホームスタジアムがあるのもこの場所で、当日はモーターショーが開かれており、多くの人で賑わっていた。

「宝体」駅からスマホのアプリ百度地図を頼りに目的地へ向かうと、周囲は小綺麗な高層マンション群であることに気付く。小学校のある宝安区は深セン市郊外ということもあり、今でも建設ラッシュが続いており、深センのベッドタウン的な役割を担っている。今回訪れた小学校もそんな街の発展と合わせるかのように2006年に開校したばかりで、見た目はとても新しく、綺麗な校舎だった。

さて、肝心のマリオ壁画は正門のすぐ後ろにある5階建校舎にデカデカと描かれており、遠目からもよく目立った。写真は西日のせいで若干赤味がかっているが、実際はゲームのマリオと同じ配色で、マリオ、クリボー、パックンフラワー、キノコ、トゲゾー、ノコノコなどのキャラクターたちがゲームのように動き回っているような印象を受ける。校舎の窓を一部土管に見立てている点などはとてもユニークで、反対側にはトウ小平氏の胸像と教育スローガンも描かれており(※1980年、深センはトウ小平氏の改革開放路線の象徴として中国初の経済特区に指定された)、“深センの生みの親”として崇められている同氏の横でマリオが軽快にジャンプしている姿は何となく滑稽でもある。

気になるのはなぜこの小学校が校舎の壁に“マリオの世界”を描いたのかだが、現地で聞くところによると、この学校はアニメ・マンガ教育に力を入れており、その一環として今年10月に描かれたそう。中国メディア深セン新聞網によれば、困難を恐れずに下から上へ駆け上がるマリオのように、子どもたちにも積極的に努力してもらい、向上心を持って生きて欲しいとの願いが込められているそうだ。実際、学生には大変好評のようで、学校関係者は「壁画は子どもたちに大変愛されており、保護者と一緒に記念撮影したりしていますよ」と語っている。

今回訪れたのは日曜日の夕方ということもあり、学生の姿は見られなかったが、近くを通りかかった家族に話を聞いみると、子どもは「マリオは知っているよ! 大好き!」と満面の笑顔。子どもの両親はマリオについて知らなかったものの、「可愛い壁画ね〜」とポツリ感想を漏らしていた。

もちろん、これは著作権を無視したある意味“中国らしい”壁画で、任天堂の権利を侵害しているのは明らか。それを重々踏まえた上で、日本のゲームキャラクターが海を渡り、現地の子どもの教育の“手本”となっているという現実を目の当たりにして、あらためて日本のコンテンツのパワーを思い知らされた。

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