世界初の人為的“魚の性転換”、養殖への応用や希少種保存に期待。

2013/11/08 09:01 Written by Narinari.com編集部

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沖縄美ら島財団は11月7日、魚の性の可塑性(性転換)に関する研究で、本来は性転換しない魚を性転換させることに成功したと発表した。雌雄異体の脊椎動物では世界初だという。

財団総合研究センターと愛媛大学南予水産研究センターの研究グループが、成熟したティラピアとメダカの雌に女性ホルモンの生成を抑えるアロマターゼ阻害剤(AI)を長期にわたり投与する実験を行った。すると、卵巣中に精子を作る精巣が現れ、精巣に置き換わることを確認したそうだ。

これまで雌雄異体の脊椎動物では、成熟した卵巣を精巣へと転換させることは不可能と考えられてきた。魚には雌から雄へ、雄から雌へ性転換する種類が一部存在しているが、一生性が決まっている魚種を人為的に性転換させた事例はなかった。

研究グループはこのような魚の性決定のしくみを10年以上にわたり研究。魚の性決定のしくみを明らかにすることは、魚を繁殖させたり、養殖したりする場合の雌雄の産み分けにおいて重要な意味があるためだ。

ティラピアとメダカ以外の魚種においても現在確認が進んでおり、多くの魚で雌を雄に換えることは可能であるとする研究成果も出ているという。また、今回の研究成果は、魚類以上の高等な脊椎動物についても卵巣から精巣へ転換できる可能性を示唆しており、これらの研究が今後も進めば、「卵や卵巣を食用とする魚や、雌よりも雄の体が大きく利用価値のある魚などの養殖技術に応用できるほか、希少種の保存にも貢献できる」と期待を寄せている。

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