助っ人が背番号「42」好む理由、リベラ投手引退でMLBからは姿消す。

2013/09/30 06:26 Written by Narinari.com編集部

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日本のプロ野球に“助っ人”としてやって来る外国人選手には、背番号「42」を付ける選手が多い。日本では「4(し)2(に)」と読まれ、「死」を連想させる不吉な数字だが、なぜ、助っ人外国人選手たちが好んで「42」を背負うのだろうか。

実は「42」は、メジャーリーグでプレーするすべての選手にとって特別な意味を持つ数字。メジャーリーグで初めて黒人選手として契約を結んだジャッキー・ロビンソンが背負っていた番号で、現在、全球団共通の永久欠番となっているためだ。

ジャッキー・ロビンソンはキング牧師がリンカーン記念堂の前で有名な“I Have a Dream”(私には夢がある)の人種差別撤廃の演説(1963年)をする実に16年前、1947年に、当時白人選手だけで構成されていた400人のメジャーリーガーの中で、たったひとりの黒人選手として契約を結び、世界に本当の自由を示した選手。

彼を起用した当時ドジャースのGMを務めていたブランチ・リッキーと、「どんなに嫌がらせを受けたとしても、何にも屈せず、やり返さない勇気を持つ」ことを約束し、白人選手以外に開かれることのなかったメジャーリーグ界の堅牢な門戸をこじあけた。

そんなジャッキー・ロビンソンの偉業と功績は讃えられ、彼のメジャーデビュー50年目にあたる1997年4月15日に、メジャーリーグで唯一、彼が現役時代に背負った「42」が全球団共通の永久欠番に。さらに毎年4月15日は“ジャッキー・ロビンソン・デー”と制定され、メジャーリーガー全員が「42」を背負い、彼への敬意を表している。

しかし、全球団共通の永久欠番としながらも1997年当時、すでに「42」を背負っていたヤンキースのマリアーノ・リベラ投手だけは、引き続き「42」を背負うことを許されていた。通算5度のワールドシリーズ制覇を果たしている43歳のリベラは今季限りの引退を表明しており、9月26日、ヤンキースタジアムでの本拠地最終戦レイズとの試合で8回途中からリリーフ登板。無失点に抑え、地元ファンだけでなく、レイズのファンからも盛大な拍手に見送られ歓喜の涙でマウンドを降りた。

現役選手最後の「42」リベラ投手はパナマ出身。彼もまたジャッキー・ロビンソンの功績によりメジャーリーガーとなった選手と言える。そんな彼が全球団最後の「42」になったことは、ジャッキー・ロビンソンも天国で喜んでいるに違いない。

ちなみに、日本球界に来た“助っ人”で「42」を背負ったのは、ソフトバンクで活躍したフリオ・ズレータ選手や、中日・DeNAで活躍しているトニ・ブランコ選手、西武やオリックス、ソフトバンクで活躍したアレックス・カブレラ選手などがいる。

また、クローザーとして活躍したマーク・クルーン投手は、自身が4月2日生まれということと、初めての黒人選手ジャッキー・ロビンソンの背番号から「42」を選択。米国では「42」を背負えないこともあり、この番号を非常に気に入っており、尊敬を込めて「彼はどんなことにも、決してあきらめることがなかった。今、僕のような黒人選手がこうして野球で家族を養っていけるのは、彼のおかげだ」とコメントしている。

ジャッキー・ロビンソンなくして人種の違うイチローら日本人、外国籍や肌の色が違うメジャーリーガーの活躍はあり得なかった。そんな彼の実話に基づく物語「42〜世界を変えた男〜」が、11月1日より公開される。奇しくも“メジャーリーグ史上最後の42”となるリベラ投手引退の年に公開される本作、野球界の大きな転換点となった歴史を振り返る意味でも、このタイミングでチェックしておくのも良さそうだ。



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