両足義足も新婦と踊る夢叶う、結婚式で披露するため8か月間特訓。

2013/08/30 18:52 Written by Narinari.com編集部

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9歳のときに遭った電車事故で両足を失い、普段は車いすの生活をしている25歳の英国人男性ネーサン・スティーブンスさん。彼は事故後、すぐに立ち直って前向きな人生を歩むうちに陸上競技と出会い、10代半ばにしてパラリンピックの代表選手にまで選ばれるようになった。そんな彼が20代半ばとなり、先日結婚。披露宴ではほとんどの参列者が見たことがないという両足で立つ姿を見せ、夢だった新婦とのダンスを披露した。この日のために8か月間特訓を続けた2人の成果は、参列者たちを深い感動で包み込んだという。

英放送局BBCや英紙デイリー・メールなどによると、9歳の頃、友人の誕生日パーティーの帰り道、通過する貨物列車と接触する事故に遭ったスティーブンスさん。出血多量で死の淵をさまよいながら、集中治療室に4週間入って回復はしたものの、切断された両足が戻ることはなかった。

それから車いすの生活となったが、ほどなくして陸上競技と出会い、投てき競技で才能を発揮。16歳の頃には槍投げ、円盤投げ、砲丸投げで英国内で上位の成績を挙げるようになった。同時にアイスホッケーの障がい者スポーツ版である「アイススレッジホッケー」でも華々しい活躍をして、2006年のイタリア・トリノパラリンピックには英国代表選手として選出。以来、2008年夏の北京、2012年夏のロンドンと、五輪3大会出場するほどのアスリートに成長した。

そんな彼は、2009年に現在26歳のシャリーンさんという女性に出会い、昨年ロンドンパラリンピックに挑む直前にプロポーズ。これを彼女が快諾、結婚を決めた2人は今年8月に開く式で彼の夢を実現させるための特訓を始めたという。

その夢とは、披露宴で参列者に披露するダンスを、2人が初めて一緒に、そしてしっかりと両足で立って踊ること。普段は車いすでの生活が主だという彼は、義足を長時間付けると痛みを感じて不快な思いをするそうで、少なくともこの10年は両足で立った機会はほとんど無かったそうだ。

そのため、参列者どころか家族ですら「(彼の)立った姿をずっと見ていない」と話すスティーブンスさん。しかし結婚にあたり、「誰にもできないことを彼女にしてあげたい」と考えた彼は、長年避けて来た両足への義足装着を決め、披露宴でダンスをしようと意気込んだ。「全く踊った経験がなかった」彼にとって、ダンスの練習は「全てが新鮮」な経験だったというが、慣れない動きをしたり、足の痛みを乗り越えたりするには時間がかかったようで、本番までに8か月も、誰の助けも借りずに2人で練習し続けたそうだ。

そしてようやく成果を披露する時を迎えた、8月17日の結婚式当日。何も知らない参列者たちを前に、両足に義足を付けてステージに上がった新郎は、新婦とともに大好きな歌に合わせてダンスを披露。多くは彼が「車いすから立ち上がった姿を見たことがなかった」だけに、2人がダンスを踊り出すと、最初は会場全体が驚きに包まれたとも。それは彼の家族にとっても同じ気持ちだったようで、頑張る弟の姿を目の当たりにした彼の兄は感極まって泣いてしまったという。

約3分弱のダンスを終え、「ロボットのようなダンスだった」と照れたスティーブンスさん夫妻に、参列者たちは大きな拍手と歓声を贈り大いに祝福。最愛の彼女と踊るという夢を叶えた彼も「人生で最高の瞬間だった」と大満足だったようだ。

今後は2014年冬のロシア・ソチ大会と2016年夏のブラジル・リオデジャネイロ大会出場という目標に向けて、再びトレーニングに励む毎日を送る彼は、結婚式を終えてもう1つ、「今度は星空の下で」妻と踊りたい」との目標もできたと語っている。

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