中国“善戦”で前監督批判加速、地元メディア「見たかカマーチョよ」。

2013/07/30 13:54 Written by Narinari.com編集部

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7月28日に閉幕したサッカー東アジア杯。日本女子は惜しくも3連覇を逃したが、男子は韓国を破って初優勝を果たすなど、日本のサッカーファンからすれば上々の結果と言えるのではないだろうか。一方この大会、日本にとって“難敵”と目されていた韓国や豪州をあざ笑うかのように好成績を収めたのが中国だ。初戦で日本と引き分けたかと思うと、続く韓国戦でもスコアレスドロー、最後の豪州戦に至っては4-3で勝利を収めるなど“番狂わせ”を演じた。もちろん、この快挙は中国でも大きく報じられ、喜びや称賛の声があちこちから挙がっているが、同時に大会前に解任された前監督に対する不満や批判がさらに強まっているようだ。

高洪波氏のあとを引き継ぎ、2011年8月に中国代表監督に就任したホセ・アントニオ・カマーチョ氏だが、目標であった2014年ブラジルワールドカップアジア予選は3次予選で敗退。親善試合の内容もパッとせず、今年3月には中国サッカー史上最低となるFIFAランキング(109位)を記録するなど、同氏に対する風当たりは日増しに強まっていた。そして6月、ホームで行われたタイとの親善試合では、格下と思われていた相手にまさかの惨敗(1-5)。カマーチョ監督が任期途中で解任されたのも致し方ないことだろう。

そんな状況で臨んだ東アジア杯だけに、中国のサッカーファンは皆懐疑的だった。監督は暫定監督、メンバーこそ中国スーパーリーグで首位をひた走る広州恒大の選手を中心に“最強メンバー”を揃えたものの、「タイに惨敗するようなチームが日韓豪を相手に勝利できるはずがない」という見方が大勢。ネットで“大量失点予測”が盛り上がりを見せるなど、大会前からあきらめムードが支配していた。

それが、初戦の日本戦でまさかの劇的ドローを演じ、続く韓国戦でもスコアレスドロー、最後の豪州戦では点の取り合いを制して大会初勝利をもぎ取ることに成功。順位も大方の予想を覆す2位となり、中国のサッカーファンは歓喜に酔いしれた。ここ最近の中国代表の状況を知っていれば、当然のことだ。

しかし、思いのほか良い成績を収められただけに、前監督であるカマーチョ氏に向けられる批判も自然と強まっていく。日本に引き分けた際にも“カマーチョ叩き”は多少見られたが、3試合終えて“正真正銘”の結果を残したことでメディアも加担。同氏に対するあからさまな批判が目に付くようになった。また、カマーチョ氏は現在、契約解除にまつわるトラブルで中国サッカー協会と揉めていることも、こうした流れをさらに加速させる結果となってしまった。

スポーツメディア騰訊体育は豪州戦後、「どうだ見たか、カマーチョよ」という刺激的なタイトルで同氏を徹底批判。「(カマーチョ氏は)策がなく、選手選考も適当だった。代表チームに団結心を根付かすことさえできなかった」とし、今回の代表は同氏が率いていた代表よりも「確実に良かった」と評価する。ネットユーザーはネットユーザーで「(暫定監督の)傅博はカマーチョよりもぜんぜんいい。(給料が)安くて質が高い。リッピ(広州恒大の監督)なんか呼ばず、その分の金をカマーチョに支払ってやれ」と言いたい放題。中には「中国人を統率できるのは中国人のみ」などといった、あまりサッカーとは関係ない意見まで目立つようになっている。

とは言え、カマーチョ氏退任後、中国代表が試合をしたのはこの大会が初めて。今後の親善試合や2015年アジアカップ予選の結果次第ではまた監督問題が再燃する可能性は十分ある。そのため、一部メディアやネットユーザーからは「冷静になれ。まだ始まったばかりだ」「今回の大会で結果を残したからといって、日韓豪に追いついたと判断するのは時期尚早」とする意見も出ているが、長い間失望に沈んでいた中国サッカー界を、東アジア杯が再び活気づかせたのは確かだ。そして、中国サッカーが再び“痛い目”を見ない限り、カマーチョ氏は批判の的となり続けるだろう。

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