スマホやパソコンといったIT機器が日常生活に欠かせない必需品となっている昨今。その進化の一方で、それらをうまく使いこなせず、悶々としている人も少なくないかもしれない。台湾ではこのたび、IT機器を使いこなせないことを苦にした男性が自殺する一件があった。
多くの台湾メディアが報じたところによると、自殺したのは彰化県で暮らす57歳の許徳生さん。野菜販売を生業としている許さんは、以前よりパソコンやスマホといったIT機器の取り扱いが苦手だったという。
許さんの死因は一酸化炭素中毒で、車の中で農薬を飲んだ後、練炭自殺を図ったものと見られている。車内には旧式のケータイと一通の遺書が残されており、そこには「突然悟りました。私は行かなければなりません。パソコンやケータイなど、私は何もできません。生きていて何の意味がありますか? 私は滅多に物を買いません。ほとんど何もできなくて、こんな生活は死よりも恐ろしい。ですから私は決めたんです」と、悲痛な言葉がつづられていた。
許さんと離れて暮らす息子の話では、許さんは愛する孫に会うためにしばしば台中を訪れていたとのこと。ただ、小学校に通う3人の孫たちは皆スマホやパソコンで遊ぶのに忙しく、また、許さんがスマホやパソコンを使いこなせないことから、孫たちとチャットすらできないことに疎外感を味わっていたという。病気も患っており、その上、先月末には十数年間連れ添った再婚相手とも離婚するなど、様々な要因が積み重なってしまったことが自殺の背景にはあるようだ。