余命僅かの父へ“1人結婚式”、ラストダンスで「大好きよ、ダディー」。

2013/07/29 19:09 Written by Narinari.com編集部

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結婚する子どもの晴れ姿が見られれば、苦労して育てた親なら、誰もがこの上ない幸せを感じることだろう。最近米国のある女性は、すい臓がんを患い余命3か月とされる父親に自分の晴れ姿を見せられそうもないと悟り、とても残念な気持ちになった。しかし父をこよなく愛する彼女は、いつか行うであろう自分の結婚式に「父にもいて欲しい」と考え、父と踊る姿を撮影するための“1人結婚式”を開こうと決断。花婿はいないまま、先日公園の展望台をステージにした式を行い、娘の花嫁姿が見られた父親も喜んだという。

米放送局ABC系列KXTVによると、父親のための結婚式を行ったのは、カリフォルニア州オーバーンに住む25歳の女性、レイチェル・ウルフさん。すい臓がんを患う彼女の父ジェームズさんは、すでに化学療法などの治療も行っていない末期状態といい、医者からは「長くて余命3か月」と宣告されていた。辛い現実に直面している父は、死に対する恐怖はないというものの、「彼女の晴れ舞台に出られないのが一番悲しい」と、娘の結婚式に出られない悔しさを募らせていた。

そんな父の思いを知りながらも、交際するボーイフレンドへ「父を理由にプロポーズを迫りたくなかった」というレイチェルさん。結婚の約束もまだなく、父の夢を叶えるのは当初「難しい」と思っていたそう。しかし、医者として多くの患者を治して来た父を「常に私のヒーローだった」と尊敬していた彼女は、何とか願いを叶えてあげたいと1つのアイデアを思い付いた。

それが、花婿のいない“1人結婚式”。父親に花嫁姿を見せるだけでなく、いつか開くであろう本当の結婚式にも参加させたいと思った彼女は、ドレスを着た自分と父との“ラストダンス”を撮影して残そうと考えたという。米国の披露宴では、新郎新婦だけでなく家族や出席者も含めて、途中にダンスパーティーを行うことが多い。本番で無理ならと、娘は父が生きてるうちにダンスシーンを残しておき、来るべき式の場で撮影したビデオを流し、父にも一緒に式を楽しんでもらおうと考えたのだ。

7月20日、父親に招待状まで用意して準備を重ねたレイチェルさんは、ウェディングドレスに身を包んで会場に選んだ地元の公園へ。寄付されたリムジンで友人らと先に到着した彼女が待っていると、その日は朝から輸血が必要なほどの体調だったにも関わらず、タキシード姿の父ジェームズさんがしっかりした足取りでやって来た。家族や友人、公園に来ていた利用者ら60人あまりが拍手をして見守る中、2人はお互いをエスコートするように展望台のステージへ向かい、親子でのラストダンスを涙ながらに踊ったという。

抱き合う度に「大好きよ、ダディー」と声をかけ、父の夢を叶えた満足感だけでなく、一緒に式を楽しめた達成感にも浸っていた様子のレイチェルさん。そんな娘に、父は「私はいつも君のそばにいるよ、忘れないで」と返し、自分の心残りを解消してくれた娘をずっと見守っていこうと、改めて心に誓ったようだ。

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