中国では先日、「刑務所では無料で病気の治療ができる」と聞きつけた男性が、ウソの事件をでっち上げて刑務所に入ろうとして失敗するという騒動が報じられた。
中国紙南方日報などによると、広東省江門市で暮らすある男性は、重い胃病を患っており、日々悩まされていたという。「看病難、看病貴」(医療費が高すぎて診療を受けられない)という言葉が示す通り、中国では医療費が高過ぎて治療を受けられない患者が急増するなど、一種の社会問題になっている。この男性も胃病の治療には数万元(1万元は約16万4,000円)必要だと言われ、ほとほと困り果てていたそうだ。
そんな折、男性は「刑務所では無料で病気やケガを治療してくれる」との情報を聞きつけた。そして男性はすでに多くの借金を抱えていたこと、また、家族にこれ以上迷惑をかけたくないとの思いからウソの強盗事件をでっち上げて“自首”し、刑務所に入る道を選ぶことに。先日、意を決して江門市公安局農林派出所を訪れた。
しかし、この計画はあえなく失敗。取り調べでは最初こそうまく立ち回っていたものの、事件の詳細について突っ込まれているうちに徐々にボロが出始める。そしてついには、強盗事件はウソであること、刑務所で胃病の治療をしてもらいたかったことを白状せざるを得なくなってしまった。
警察は男性の置かれている立場を考慮し、厳重注意するだけで済ませたそうだが、果たしてこの結果が男性にとって本当に良かったのかどうかは不明。何はともあれ、治療費を理由に自ら刑務所に入ろうというのは少々切ない話だ。