7月21日、韓国で開催中のサッカー東アジア杯で日本代表と対戦した中国代表。試合前の予想を覆すようなドローで勝ち点をもぎ取ることに成功し、中国サポーターはいま、歓喜の渦に包まれている。
日本のサポーターからすれば大変悔しい結果となってしまった中国戦。初招集の柿谷曜一朗選手や工藤壮人選手の代表初ゴールが生まれるなど嬉しい出来事もあったが、最後は“格下”と思われていた中国相手に押し込まれ、最終的に引き分けてしまったのは残念以外の何ものでもないだろう。
だからこそ、相手中国から見ればこれほど嬉しい結果はない。特に中国代表は成績不振でスペイン人のホセ・アントニオ・カマーチョ監督を先月解任したばかりで、今回の大会はいろいろな意味で不安視されていた。カマーチョ体制最後の試合となったタイ戦ではまさかの0-5の惨敗。タイよりもはるかに強いと思われている日本相手に「勝てるわけがない」というネガティブな雰囲気が充満していたためだ。
ただ、日本戦の結果を受け、中国人サポーターはさっそく“手の平返し”。これまでボロクソに叩いていたのとは打って変わり、ネット上には「中国サッカーはまだまだ捨てたものじゃないぞ」「シュート本数では日本の2倍だ!」「やはりカマーチョがポンコツなだけだったんだ」「よくやった。メンツは保てた」などと賛辞の声が溢れている。各メディアも日本と引き分けたことを驚きを持って伝えつつ、2点ビハインドから挽回したチームの姿勢を誉め称えた。
中には「たった1試合の結果で何がわかる?」「日本代表は2軍だろう。しかも即席チーム。まったく参考にならない」「挽回とか言う前に、先制してから1-3にされるまでがあっけなかった」など、まだまだ懐疑的な意見も見られるが、「このまま頼むぞ」とその多くは早くも次戦を見据えている。
もし次戦の韓国戦で中国サッカー界に蔓延する“恐韓症”を乗り越え、韓国相手にも引き分け、もしくは勝利を手繰り寄せることができたとしたら、長らく不振に喘いでいる中国サッカーを一気に活気づけることになりそうだ。
なお、中国は1998年の第4回「AFCマールボロ・ダイナスティカップ」(東アジア選手権の前身の大会)を最後に日本には勝利していない。かつては韓国とともに日本のライバルと目されていた中国だが、ここ15年間の戦績は4分4敗となっている。