愛が深すぎるゆえに恋人に尽くし過ぎてしまう。そんな経験がある人も多いかもしれない。しかし、相手に言われるまま要求を何でも聞き入れてしまうと、時にトラブルを招くこともある。中国では先日、14歳の少女が彼氏に言われるまま、高級車を購入してプレゼントしそうになった一件が報じられた。
中国メディア騰訊新聞などによると、この一件が起きたのは7月14日のこと。河南省鄭州市のアウディのディーラーに、少女とその彼氏、さらに仲間を含めた計5人が来店した。そして展示車の中から車体価格約31万元(約500万円)の「アウディA4」を選び、購入する流れとなったのだが、聞けば少女が彼氏に「プレゼントする」という。提示された彼氏の身分証には“楊”という姓と年齢22歳、河南省封丘県籍であることが記されていた。
このときはまだ疑問を抱いていなかったディーラーの販売員。しかし、お金を支払う段階になって、少女が「キャッシュカードをホテルに置き忘れて来た」と言う。仕方なく、販売員はホテルまで少女を車で送り、カードを取りに行かせることに。ところが再びディーラーに戻っても「カードを忘れた」とおかしなことを言い始め、一緒にいた彼氏はイライラ、「車買ってくれるんじゃないのかよ?」と少女を責め始めた。
「様子がおかしい」と判断した販売員は、少女と彼氏らを隔離して事情を聞くことに。すると、“張芳”と名乗った少女はまだ14歳で、彼氏とはネットカフェで知り合ったと告白した。アウディ購入のお金は自分の貯金だが、それは母からもらった生活費だという。
この少女は11歳のときに両親が離婚。3年ほど両親とは会っていないそうで、自分は月1800元(約3万円)のアルバイトをしながら生活し、母からは毎年数万元の仕送りがあったこともわかった。
しかし、少女にお金があるにせよ、販売員としては未成年に車を販売するわけにはいかない。彼氏が実年齢とは異なる“16歳”と少女に伝えていたことにもうさん臭さを感じ、販売を拒否するとともに、ディーラーの微博(中国版ツイッター)で全国のディーラー向けに「この少女には絶対に車を販売しないで下さい」と注意喚起した。
最終的にはディーラーによって警察に通報が入り、少女は事情聴取されることに。少女はしどろもどろな発言を繰り返し、真相はいまいちハッキリしないそうだが、彼氏とは3か月前にネットカフェで知り合ったばかりで、「車を買ってくれないなら別れる」と脅されていたという。少女には近くに両親がおらず、愛情に飢えていたのかもしれないが、最後の最後でディーラーが防波堤となってくれたのが唯一の救いだろう。
なお、車を買わせようとした問題の彼氏はすでにトンズラ。連絡が途絶えてしまったそうだ。