米国の子ども病院に入院した2歳の女の子と家族は先日、おもちゃで遊ぶのに飽きた女の子のために、外を歩く通行人に向けてちょっとしたおふざけを仕掛けた。それは窓に貼ったテープで「ピザを送って」とメッセージを作り、反応をうかがおうというもの。すると、このメッセージは瞬く間にネットで広がり、期待以上の反応が返ってきたそうだ。
米放送局ABCやCBSなどによると、メッセージを作ったのは、ロサンゼルス子ども病院に入院していた2歳のヘーゼル・ハマースリーちゃんと家族。今年4月に小児がんの一種である神経芽細胞腫と診断された彼女は、このたび、7月4日から15日までの予定で入院して治療することになった。ステージ3と診断された子どもは、一般的に5年生存率が「95%」あるとされているが、彼女の場合はステージ3でも「30〜50%」程度とやや深刻な状態で、長期に渡る観察と治療が必要なために「18か月間」(英紙デイリー・メールより)治療が続けられる予定だという。
いろいろと遊びたい盛りの2歳の子なら、病室内で同じことばかりして過ごすのは相当辛いはず。ヘーゼルちゃんもそうだったようで、先日おもちゃで遊んで楽しんでいた彼女が、やがて少し不機嫌そうな様子を見せ始め、家族は何か彼女を楽しませる遊びはないかと考えたという。そのヒントになったのが、お見舞いに来た祖母のアイデアだった。
若い頃に入院したとき、病院の許可を得て窓ガラスにテープを貼り合わせ、外の人に向けたメッセージを作って楽しんでいたという話をした祖母。家族は、ヘーゼルちゃんが窓から通行人に手を振ってもなかなか気付いてもらえなかったことを思い出し、気付いた人とだけ楽しめるちょっとした暇つぶしにと、祖母と同じようにやってみることにした。そして作ったのが、「4112号室にピザを送って」のメッセージ。もちろんヘーゼルちゃんたちは冗談のつもりで楽しんでいたため、このときは誰もピザが本当に届くとは思っていなかったという。
ところが、メッセージを貼って数日経った7月13日。気付いた人によって米ソーシャルサイト「reddit」に写真が投稿され、ヘーゼルちゃん一家の“遊び”が広くネット上で知れ渡り、実際に病院へピザが次々と届けられ始めたそう。この日、ヘーゼルちゃんの病室には30箱近くも集まり、家族は病院スタッフや入院中の子どもたちに配って急遽「ピザパーティー」を開催。同時に、騒ぎを知って集まったメディアや病院のサイトを通じて「もうピザは充分届いた」と伝え、感謝の気持ちを表した。
そして15日の退院を迎え、素晴らしい思い出ができて気分良く家に帰ったというヘーゼルちゃん。今回の出来事を力にして、完治に向けて数々の厳しい治療も乗り切って欲しいところだ。