目の不自由な飼い主に寄り添い、危険が及ばないように先導してくれるのが盲導犬の役目。ところが、英国のあるカップルの場合は、それだけにとどまらなかった。まず盲導犬同士が恋に落ち、その後、飼い主同士も交際に発展。“運命の相手”探しまで先導してくれたそうで、2人と2頭は今、幸せな時間を過ごしているという。
英紙デイリー・テレグラフやザ・センチネルによると、このカップルは英南西部の街ストーク・オン・トレントで暮らす、52歳のマーク・ガフェイさんと50歳のクレア・ジョンソンさん。糖尿病の影響から24歳で失明し、昨年3月にラブラドール・レトリバーの盲導犬ベニスを迎え入れたジョンソンさんは、新しいパートナーとトレーニングを行うため、2週間の訓練教室に足を運んだ。
そのとき一緒に受講していたのがガフェイさんと、ベニスと同じ3歳のラブラドール・レトリバーで彼の盲導犬ロッド。ある日、出席必須の訓練で一緒になったベニスとロッドは、ずっと行動を共にして「鼻をすりつけ合う」など、互いに好意を抱くような素振りを見せ始めたという。「教室で愛とロマンスが芽生えた」と話すトレーナーの言葉で、事情を知ったジョンソンさんは、訓練終わりにガフェイさんをコーヒーに誘ったそうだ。
すると盲導犬同士の相性が移ったように、2人も意気投合。お互いの家もそれほど離れていないと分かって、教室終了後も頻繁に2頭を連れて食事へ出かける仲になった。その食事中も、お互いを知るのに夢中で会話していたという2人。あるときは、食事が終わっても話が止まらない2人を見兼ね、店員がいらだたしげに「指でコツコツと叩いて」帰るのを待っていたこともあったと、ガフェイさんは話している。
その後は順調に愛を深めていき、出会いから約1年経った今年のバレンタインデーに、ガフェイさんがジョンソンさんへプロポーズ。来年3月に結婚式を挙げる2人の話は、7月3日に英放送局ITVのテレビ番組で紹介されて話題になった。
プロポーズの瞬間を「忘れられるはずもない」と話すジョンソンさんだが、それは嬉しさと同時に、ITVの取材班が感動の瞬間をしっかり収めようと2人にリハーサルさせたため、彼のプロポーズを4回受けたせいもあったようだ。
「運命なんて信じたことがなかった」というガフェイさんは、「未だ深く愛しあっている」ベニスとロッドのおかげで最愛の人が見つかり、将来に明るい希望を見出した様子。来年3月の結婚式は、エスコート役として参加させる“盲導犬カップル”のためでもあるといい、互いに愛情で結ばれた2人と2頭の生活を今から楽しみにしているようだ。