ここ数日、ある抗議運動が中国のネットを賑わせている。それは教職員の“魔の手”から子どもを守るために活動家が始めたものなのだが、1人の女性から始まったこの運動はネットを通じて拡散していき、今では大手メディアも相次ぎ報じるまでとなった。
この運動は去る5月8日、海南省万寧市の小学6年生の女児6人が、別の小学校校長と市職員から性的暴行を受けていた事件が発覚したことが発端になっている。犯行に及んだ2人の身柄はすでに拘束されているが、その後、中国では20日以内に教職員による幼女わいせつ事件が少なくとも8件報告され、社会に大きな波紋を広げることになった。
こうした現状を打開すべく立ち上がったのが、セックスワーク問題やエイズ問題の活動家として知られる葉海燕さん。5月27日、彼女は問題となった小学校の校門前でプラカードを掲げて抗議に出る。そこには大きな文字で「校長、部屋を取るなら私に声をかけて。小学生に手を出さないで!」とのメッセージと、連絡先として女性人権団体のホットライン「12338」が記載されていた。
言うまでもなく、これは事件加害者への痛烈な皮肉なわけだが、彼女の行動は瞬く間に多くの人の関心を引き起こす。ネットでは彼女に対する激励の声が殺到し、彼女の行動を真似てプラカードを掲げる人が続出するようになった。
現在、微博(中国版ツイッター)や掲示板などでは多くのネットユーザーが投稿したプラカード写真を見ることができる。この運動には女性だけでなく、男性も参加しているようで、中には全裸姿の男性が「校長、部屋を取るなら私に声をかけて」と冗談めかしくメッセージを掲げているものもあった。
ただ、一部の人からは子どもたちへの悪影響を心配して「葉海燕さんの行動は過激すぎる」との批判の声も。また、葉海燕さんの仕事場が何者かによって襲撃されたというニュースも届いており、事態が収束するまでにはもうしばらく時間がかかりそうだ。