「大勝軒」山岸氏を13年間追う、監督が明かした映画化の経緯&秘話。

2013/05/18 04:30 Written by Narinari.com編集部

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創業以来50年、行列のできるラーメン店の元祖として伝説的な存在の「大勝軒」。東京・東池袋の同店、そして“ラーメンの神様”山岸一雄さんの語り尽くせない人生に迫ったドキュメンタリー映画「ラーメンより大切なもの〜東池袋 大勝軒 50年の秘密〜」が、6月8日より劇場公開されるが、このたび、印南貴史監督のトークショーが都内で開催された。

本作はフジテレビの「ザ・ノンフィクション」で過去3回(2002年、2005年、2011年)シリーズ放送され、絶大な反響を残したドキュメンタリー作品にさらなる撮影を加え、映画化したもの。トークショーでは山岸マスターを13年間追いかけてきた印南監督だからこその思いが語らたほか、山岸さんもサプライズで登場した。

トークショーの進行は、「ザ・ノンフィクション」の3作目でナレーションを担当したフジテレビの松尾翠アナが担当。映画化には驚いたという松尾アナが山岸さんとの出会いを印南監督にたずねると、「出会いは2000年にバラエティ番組でラーメンフリークの人たちとロケをする機会があり、『好きなラーメン屋さんを挙げてください』とたずねたら、半分の人が“大勝軒”って言ったんです。でも当時はラーメンに全然興味がなかったので、『その大勝軒はどういうお店なんですか?』って聞いたんです。そしたら、みんな『言葉ではなんか説明できないんだよね〜』みたいな感じに言うわけですよ(笑)。それでロケにうかがい、撮影後、山岸さんと3時間ぐらいいろんな話をさせていただいたんですけど、そのとき何となく『この人、不思議な……普通の人じゃない』と思って。さらにお店の中に板を敷いて寝ると聞いて、『あれ、この人絶対になにかある』と確信して企画書を出しました」と、企画に至るまでの経緯を説明した。

山岸さんのことは多くの人が“ラーメンの神様”と呼ぶが、そのあたりについては「僕は神様だと思ったことはなくて、単純にラーメンを一生懸命作る、他の仕事に就いても一生懸命されて名をなす人だと思いました」と、監督は少し違った印象を持っているそう。続けて「それとともに秘密を持ってる。秘密を抱えて生きていることって僕らあるじゃないですか。それは普遍的なことだし、それを映像化できればと思っていただけです」と、狙いを語った。

作中には山岸さんと対決するシーンが盛り込まれているが、この点については「あることを聞かなければならなかったんですが、心の準備と聞くタイミングを探って3週間くらい待ちました。それを聞いたあと、本当に仲良くなっていたのに2週間くらい口を聞いてくれませんでした。聞いたあとは僕も泣いてしまったし、本当に思い出深いシーンです」とのこと。

また、映像化するにあたり“絶対に撮りたかったシーン”については「寝ている画を撮りたかった。それと大勝軒という、山岸さんを中心にした不思議な社会があった。その社会をいかに忠実に切り出すか」に注力したという。

そして最後に「この作品はラーメン屋さんのラーメンの話ではなく、ラーメン屋さんの仕事についた男の話だと思っています。だからラーメンのおいしそうな画を撮っていなかったりします。それよりも山岸一雄という人間を見てもらって感じてもらって、自分の人生に重ねあわせたり、自分にとって大切ものについて考えていただければと思っています」とアピールし、トークショーをしめくくった。

映画「ラーメンより大切なもの〜東池袋 大勝軒 50年の秘密〜」は6月8日(土)よりシネマサンシャイン池袋ほか全国順次ロードショー。


☆「ラーメンより大切なもの〜東池袋 大勝軒 50年の秘密〜」ストーリー

店を訪れるすべての人に「何かを与える」山岸さんは、一体どのような人物なのか。常連客、店員など数々の証言から彼の生き様を浮き彫りにするほか、山岸さん自身、決して語ろうとしない「大勝軒」の奥の一室に隠された真実から、彼の「大勝軒という生き方」の源流に迫っていく。

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