全米6,300店の中華料理店巡り、足かけ33年の食べ歩き生活は続く。

2013/05/06 09:45 Written by Narinari.com編集部

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米ロサンゼルスに住むデイビッド・チャンさんは、普段は弁護士と公認会計士を生業としているが、一方で30年以上にわたって全米の中華料理店を巡り続けている“中華料理のスペシャリスト”。メディアや料理研究家からも一目を置かれる存在だ。在米中国人3世の彼が中華料理に精通するのはごく自然な成り行きのようにも思えるが、意外にも子どもの頃は中華料理が好きではなかったという。

米紙ロサンゼルス・タイムズや米放送局ABCによると、現在64歳のチャンさんはロサンゼルス生まれの中国系米国人。米国の各大都市には多くの人種が集まっているが、彼が生まれた1950年当時には、米国政府が毎年中国からの移民受け入れに厳しい制限を設けていたため、ロサンゼルスに住んでいた中国人は市の全人口の0.5%にあたる8,067人しかいかなかった。そのため、周囲から特別な目で見られることも少なくなかったようで、当時の両親は彼を守ろうと現地の学校に通わせるなど中国文化にはあまり触れさせず、米国人として育てるように腐心していたという。

食べる料理もお米以外はミートローフやスパゲッティなど、自然と生活がアメリカナイズされていったチャンさん。小さい頃は中華料理を食べる機会も少なく、むしろ嫌いだった影響もあって、未だに箸はあまり上手に使えないそうだ。

そうした環境の中で成長した彼は、父親も卒業したカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に進学。この頃米国は、1971年のニクソン大統領電撃訪問など中国に対する転換期を迎え、入国規制緩和により米国へ移住する中国人も増え始めた。UCLAでは「米国における東洋人」という初めてアジアに目を向けた授業も用意され、受講した彼もこの時から中国文化を意識するようになったという。

やがて卒業した彼は、会計事務所に就職。香港出身の同僚と仲良くなり、以前は嫌いだった中華料理も普通に食べるようになった。1955年頃にはロサンゼルスに1軒しかなかった中華料理店も激増。昔からコレクター気質だったチャンさんは、新たな店を開拓するたびに名刺をもらって集めていたところ、次第に名刺リストを増やそうと、知らない中華料理店にも足を踏み入れるようになり、現在の活動へと繋がった。

そして、本格的に米国やカナダにある“中華料理店巡り”を始めて33年。彼が残す店の記録も名刺からエクセルへと変わり、現在そのシートには6,297店の名前が記されているという。仕事でフロリダへ向かった際には、帰る前に州内にある20の中華料理店を訪れたというほど精力的に行動し続けるチャンさんに、残念ながら妻は理解を示してくれないそうだ。

そんな彼が今まで食べてきた中で「最高の料理だった」と話すのが、地元ロサンゼルスの店で出された「レモンチキン」。しかし店の経営者が変わってから「味が落ちた」そうで、再び最高の中華料理を出してくれる店を探し出すのが、彼にとっては今の生きがいなのかもしれない。

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