「檻に12年」の犬が芝生初体験、米保護団体が“繁殖犬の現実”紹介。

2013/04/18 12:27 Written by Narinari.com編集部

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今年3月、米国の動物保護団体に引き取られた1匹の犬。その犬――メスのマルチーズ、リジーは生まれてから12年間、ずっと狭い檻の中で生き続けていたという。彼女はペットショップで売る犬を産むための繁殖犬として、生涯を“パピーミル”と呼ばれる繁殖場で過ごしてきたそうだ。そんな現実も犬を飼いたい人たちに知って欲しいと、先ごろ、団体が保護したリジーの映像を紹介し、注目を集めている。

米紙ニューヨーク・デイリーニュースや英紙デイリー・メールなどによると、リジーの映像を紹介したのは、コロラド州ペイトンを拠点に活動している保護団体「ナショナル・ミルドッグレスキュー」。米国ではペットショップに子犬を卸すためにたくさんの繁殖犬を抱える“パピーミル”が、数多く存在している。子どもを作るためだけに集められた犬たちは、ほぼ一生を狭い檻の中だけで過ごし、繁殖能力がなくなると保護団体へ引き取られるケースもあるが、中には安楽死処分にされる犬も少なくないそうだ。

そんな繁殖犬たちを保護し、実情を市民に伝える目的で日々活動を行っているというナショナル・ミルドッグレスキュー。今年3月、アーカンソー州の“パピーミル”から引き取り依頼を受け、保護したのがリジーだった。彼女は縦横18インチ(約46センチ)というスペースの檻の中だけで12年間生き続け、保護された際にはいくつかの腫瘍が見つかったほか、感染症が原因で左目の摘出手術を余儀なくされるなど、健康状態は芳しくなかったという。

保護から間もなく、リジーに必要な処置を講じた後、団体は彼女に初めて外を歩かせてみた。それが4月1日付でYouTubeに公開された、「Puppy Mill Dog - Walks On Grass For The First Time」(//www.youtube.com/watch?v=AE_z4bQlLTM)という動画。初めての芝生で一歩ずつ感触や匂いを確かめるように、リジーはおぼつかない足取りで広い敷地を歩いている。元気というには程遠い動きからは、“歩く”という行動すら慣れていないような印象だ。

リジーはその後、コロラド州の里親への引き取りが決まり、治療の甲斐もあって急速に力をつけるほど元気になり、芝生にも慣れ、現在は駆け回っているという。団体は、リジーもいた“パピーミル”自体は米農務省の厳しいガイドラインに従った合法的なものと説明。ただし、収容された犬のほとんどが心苦しい状況の中での生活を強いられており、その実態を「多くのペット所有者が知らない」と訴えている。

リジーのような犬を、毎月60頭から100頭保護しているというこの団体。犬を飼いたいと考えている人へは安易にペットショップでの購入を決めず、「時間がかかっても施設を見て周って欲しい」と呼びかけている。

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