シュガーマンの“奇跡”に続き、世界最大級の音楽フェスに出演決定。

2013/04/10 14:46 Written by Narinari.com編集部

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“奇跡”には続きがあった――。映画「シュガーマン 奇跡に愛された男」で脚光を浴びた“シュガーマン”こと歌手・ロドリゲスが、音楽の聖地でSOLD OUT SHOWを成功させ、世界最大級の音楽フェスティバルにも出演することが決定した。

ロドリゲスは1960年代後半に米デトロイトでデビューし、2枚のアルバムをリリース。しかし米国では全く売れず、商業的には大失敗に終わってしまう。ところが、地球の反対側の南アフリカではその歌声、音楽性の高さ、歌詞の痛烈さが革命を志す若者の間で支持され、社会現象に。この一連のストーリーがドキュメンタリー映画化され、アカデミー賞長編ドキュメンタリーを受賞するなど大ヒットを記録し、その反響を経て、4月7日に音楽の聖地NYビーコン・シアターでロドリゲスのライヴが行われたが、これがSOLD OUT SHOWとなったのだ。

ビーコンシアターは1929年に映画館としてオープン。1970年代以降はミュージカルや演劇、コンサートの会場に転換し、1982年にはアメリカ合衆国国家歴史登録財として認定された“音楽の聖地”だ。かのエアロスミス、ローリング・ストーンズやクイーンも演奏し、オールマン・ブラザーズ・バンドは1989年以来毎年必ずこのホールでライヴを行っている、音楽ファンには有名なホール。総収容人数が3,000人近くになるこの会場が「奇跡の歌声」を実際に聴いてみようと押しかけた人々で埋まった。会場外ではチケットを400ドルを超す高値で売るダフ屋が現れるほどのプレミアム・ショーとなった。

ステージライトの光をよけるためなのか、目深に帽子を深々とかぶり、長髪にサングラスをかけ、全身黒ずくめでステージに登場したロドリゲス。ギター1本を手に登場するやいなや、待ち構えていた聴衆は総立ちとなり、温かい声援で会場に迎えられたロドリゲスはバックバンド(サックス、トランペット、ギター2、ドラム)を従え、静かに演奏をスタートさせた。

映画本編で印象的に流れたサントラ収録曲はイントロだけで会場からは「ウォー」と声援があがる。今となっては“代表曲”を持つほどになった彼は、「アイ・ワンダー」「アイ・シンク・オブ・ユー」「イナー・シティ・ブルース」などで会場を魅了。またボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」などのカヴァーも7曲披露し、ファンへの嬉しいサプライズとなった。

カバーも含め21曲、約90分のステージを終えるとバンドともにステージに何度か登場し、総立ちのオーディエンスの惜しみない拍手を浴びながらも最後は「安全運転で帰ってくださいね。皆さまに幸あれ」と彼らしく締めくくり、舞台を背にした。

このSOLD OUT SHOWでの成功を皮切りに、ロドリゲスは世界最大規模の音楽フェスティバルにも出演する。4月14日と21日には米国のコーチェラ、6月26には英国のグラストンベリーへの出演が決定。また、10月10日の世界最大規模のホール:ラジオシティ・ミュージックホールで行われるライヴも、売り出しと同時に完売している。2012年7月、3館での限定公開から1年も経たずして、世界の名だたる音楽フェスやホールに登場するようになるとは本人含めて誰も想像しなかったに違いない。

何十年も前の作品が海を越え、時を越え、今こうして世界中を魅了している現実は、まさにロドリゲスの歌声がおこした“奇跡”と言えるだろう。


☆映画「シュガーマン 奇跡に愛された男」ストーリー

1968年、ミシガン州デトロイト。場末のバーで歌う一人の男ロドリゲスが、大物プロデューサーの目にとまる。満を持してデビューアルバム「Cold Fact」を発表するが、商業的には大失敗。世の多くのミュージシャンと同じく、彼もまた誰の記憶にも残らず、跡形もなく消え去った。

ところが、音源は海を越え、運命に導かれ南アフリカに渡る。反アパルトヘイトの機運が盛上がる南アフリカの地で、「Cold Fact」は若者たちの胸に突き刺さった。その後20年にわたって広い世代に支持され、南アフリカではローリング・ストーンズに並ぶほど有名なアルバムになっていた。

しかし誰も彼の“その後”を知らない。失意のうちにステージで自殺した、との都市伝説だけが残されているだけだった。なぜ彼の音楽は同時代の米国で無視され、南アフリカで熱狂的に受け入れられたのか。彼はどこへ行ってしまったのか。音楽の共鳴力に心打たれ、人生に起こる本当の奇跡に出会う、珠玉のドキュメンタリー。

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