大友監督「ジブリには敵わない」、アニメ「SHORT PEACE」製作発表。

2013/03/23 03:51 Written by Narinari.com編集部

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「AKIRA」から25年、「スチームボーイ」から9年。稀代の映像作家・大友克洋を筆頭にした、トップクリエイターたちが結集するアニメーション映画「SHORT PEACE」の製作発表会見が3月22日、東京国際アニメフェアで開かれた。   

「SHORT PEACE」は巨匠から新進気鋭のクリエイターまでの多才な面々が、日本を舞台に、固有の文化、歴史、サブカルチャー、未来の4つのショートストーリーで描いたオムニバスプロジェクト。なぜいま、日本がテーマなのか、その意図を問われた大友は「今回の企画は震災前からありました。当時“クール・ジャパン”として日本の文化を世界に発信していこうという動きがあり、日本を舞台に過去から未来へ、それを新しい作家たちと一緒に作ってみようというコンセプトでスタートしました」と説明した。

そして、大友が9年ぶりに監督を務めた短編「火要鎮」については「最初から短編でやるなら時代劇かなと思っていました。あまりCGに頼らずに、手で描いた柄を着物にハメ込んでみたり、絵巻物のようなテイストのものをやりたいと思っていたので、実際にやれて楽しかったです」と振り返った。

また、大友の原作マンガ「武器よさらば」を“初監督作品”として手がけたカトキハジメは「原作の『武器よさらば』は40代半ば以上の人間にとっては忘れられない作品で、この世界の人間で影響を受けていない人はいないんじゃないかというくらいの作品です。そんな素晴らしい原作をまさか自分が監督するとは思ってもおらず、責任重大という思いで作りました」とコメント。

同じく「武器よさらば」でキャラクターデザインを手がけた田中達之は「高校生のときに原作の『武器よさらば』と出会いました。大友ファンの間ではカルト的な人気の作品で、全てが好きです。ファン代表としてこの作品に取り組みました」と感無量といった面持ちだった。

話は広がり、「日本に限らず世界中のクリエイターの中で、いま気になっている人は?」と問われた大友は「すごくいっぱいいます。マンガ、イラストの世界では世界中で新しい人がどんどん出てきているから、良い環境だと思います。アニメの世界にももっと新しい人が入ってきて活気づけて欲しいと思っています」との業界活性化に向けた願いも。

ちなみに、「SHORT PEACE」は、スタジオジブリの新作「風立ちぬ」(宮崎駿監督)と公開時期が重なるが、この点については「ジブリには敵わないです。ボクらはボクらでがんばるしかないです」とのこと。

また、ファンの期待が大きい大友の長編作品については「長編の企画は出しています。震災以降、劇場作品の資金集めが厳しい時期が続きましたが、それがいまは回復しつつあります。もうそろそろ企画が動き出すんじゃないかとボクも期待しています」と含みを持たせた。

「SHORT PEACE」は7月20日(土)ロードショー。


☆「SHORT PEACE」ラインアップ

「火要鎮」(ひのようじん)
脚本 監督:大友克洋/キャラクターデザイン ビジュアルコンセプト:小原秀一/音楽:久保田麻琴

「九十九」(つくも)
脚本 監督:森田修平/ストーリー原案 コンセプトデザイン:岸 啓介

「GAMBO」
監督:安藤裕章/原案脚本 クリエイティブディレクター:石井克人/キャラクターデザイン原案:貞本義行

「武器よさらば」
原作:大友克洋/脚本 監督:カトキハジメ/キャラクターデザイン:田中達之

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