酒井若菜ら“板尾の日記”朗読、シリーズ最新作の刊行記念イベント。

2013/02/24 00:25 Written by Narinari.com編集部

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お笑い芸人の板尾創路(49歳)が2月23日、都内で行われた「板尾日記8」(リトルモア)の刊行記念イベントに出席した。「板尾日記」は、板尾が日々を綴った日記のこと。2005年から休むことなく書き続けている日記は多くのファンを生み、今回で8冊目の刊行となる。

「作り物ではないので、テーマとかも特にないんですよ。毎日感じたことや起こったことを素直にこつこつ書いた、それだけのものです」と板尾。まさか8年も続くとは思っていなかったようだが、「最初は人に日記が見られるなんて恥ずかしいという戸惑いがあったんですけど、(執筆の)スタイルが確立できて楽になったというか。毎日発信するわけじゃないし、(刊行するのは)意外と先のことなので“何書いてもええやん”っていう油断した気持ちも出て来たんですよね。書かんでおこうとか、これは言い方変えようとかになると精神的な負担になるんで、素直に思うまま書いて、この表現ヤバいなというところは黒く塗り潰すっていう。開けっぴろげに書いてます」と説明する。

本の資料には、板尾が著書の中で綴っている「生きているということは、とても素晴らしいこと。生きていくということは、とても辛いこと」という文章が掲載されている。「いろんな意味があると思うけれど、自分なりに感じていただけたら。生きていくというのはいいことのように、みんなは言いますよね。でも、辛いことのほうが多いでしょ? 実際、辛いやろ?」とレポーターに質問すると、「でも、辛いなかでたまにいいことがある。それが忘れられないんですよね」としみじみ。「僕やと、子どもができたのもいいことやし、おいしいもん食べたとかちっちゃいことも数えたら、幸せなんか1日にいっぱい感じられる。それだけで生きていることは素晴らしいとも思いますよね」と静かに語った。

また、今年を象徴する個人的な出来事として、板尾が挙げたのは子どもの誕生。「妻が妊娠して、年齢も年齢なので心配もあったけど、無事に元気で産まれてくれた。産まれたのは6月25日。1年の真ん中にちょうどそんなことがあったので、昨年1年間は――はかったわけじゃないけど――子どもがすべてだった年でしたね」と振り返った。

現在8か月になるが、「にこやかで機嫌がいい子。よそのお子さんはどうかわからないけど、情緒が安定していて、あんまり手こずらない。最近はちょっと人見知りをし始めたんですけど、それが逆にかわいかったりするんですよね」と表情を緩めた。

すべて手書きで書いているという日記。「編集者に打ち込んでもらったあとに、もう1回、全部読み返すんですけど、読み返すとやっぱり恥ずかしいですよね。こんなことがあったんやとか、こんなこと思うてたんやと思うこともありますから。奥さんの話もよう書いてますけど……辻褄が合うてるから責められることはないですね(笑)。日記を書いてると、素行はよくなりますよ」と笑わせる。

日記を書くという行為は、他の人にもオススメしたいことだそうで、「8年間書いていて、いちばん得してるのは間違いなく僕。みなさんにも、特に彼にはオススメしたいですね」と、最初に「辛いやろ?」と話しかけた男性レポーターへ勧めていた。

昨年を象徴する作品として、いま大ブレイク中のグラビアアイドル・壇蜜との共演作「私の奴隷になりなさい」についてたずねられると、「“この作品で、芸能界で売れる”とか“ステップアップする”とか変な意気込みじゃなく、開き直りのような覚悟があったのでヒットするだろうと思っていました。ああいうキャラクターはオリジナリティもあるし、事件になるんじゃないかっていう予感もありましたしね。僕も映画を撮っているので、スタッフの一員として参加したような作品。楽しい仕事でしたし、いまも公開されている映画館もある。それは役者冥利に尽きますし、感謝してます」と振り返る。

「(壇蜜さんは)マリリン・モンローみたいな人。おっさんの食いつきがすごいですよね。この前、小学校の校庭の側を通ったら、小学生も“壇蜜いえーい!”って走り回ってましたよ(笑)」と板尾。「あの人、友だちおらんのかな?」と首を傾げながら、「公開後、一度ご飯に行こうやと話してたら、“私がつくりますから、家に来てください”って言われて。行ったら僕ひとりで、すき焼きをつくってもらいました。料理もうまくて、もてなしも上手やったけど……まさか一人やとは思わなかった。不思議な人ですよね。子どもが好きみたいなんで、うちにも招待しましたけど」と、とんでもないエピソードを披露した。

「それ、写真週刊誌に撮られたら危ないですよね?」とレポーターから返されると、「そうですよ! 子どもが産まれた言うときに、何しとんねんっていう話ですからね。(「迫られることは?」という質問に)ないです(笑)。撮影の話とか、他愛もない話をしましたよ」と笑いながら答えた。

また、「板尾日記8」では、昨年の「R-1ぐらんぷり2013」についても触れているが、今大会については「ヒューマン中村くんも素晴らしい芸やったと思いますけど、三浦(マイルド)くんのキャラクター、プラス人間性には勝てなかった。中村くんのフリップ芸は、ほかの人がやってもおもしろいかもしれへんし、もっとうまい人がやれば、もっと笑いが取れるかもしれない。彼については作家のようなイメージがあったので、(人間性を感じた)三浦くんの優勝でいいんじゃないかなと思っていますね」と評した。

囲み取材後は、同会場で朗読会が行われた。女優の鈴木杏、酒井若菜の2人が、8年間の「板尾日記」を朗読するということで、150枚限定のチケットは完売。立ち見も出るほどの盛況となった。

「2年くらい、本のプロモーションやサイン会をやっていなかったので、今回はイベントをやれたらと思っていた」と板尾。「自分の日記を自分で読むのはあれなので、読んでいただけたらとお願いしたら、こういうかたちでイベントをすることになりました」とお客さんに語りかける。

「日記の朗読ってどうなのか。すいません、どうなるかわからない経験のないことですけど、同じ時を過ごしましょう。数時間よろしくお願いします」との挨拶でイベントはスタート。

まず、2005年から2008年までの抜粋された日記を読んだのは鈴木。映画「ナイン・ソウルズ」で初共演以来、映画「空中庭園」や、ドラマ「Room Of King」で一緒に演じている仲ということもあってか、リトルモアの社長直々のセレクトでオファーしたそうだ。

ハキハキと力強さを感じる声の出し方で、日記を読み上げた鈴木。朗読後、「いっぱい噛んじゃった。緊張した……」とうつむく彼女に、板尾は「文章的に読みやすくはないやろうし、俺も声に出して読んだことはないからね。すごい大変そうやなと思う。それに、スラスラと読むのではない感じが、この日記にはいいと思う」とやさしく感想を述べた。


「聞いてるとなんていうか……自分のことじゃないような感覚が強いというかね。かなり昔のことやし、感情面ではほとんど覚えてることがなかったから不思議な感じがした。(始まる前は)恥ずかしいんかなとか思うてたけど、全然やった。詩の朗読も……杏ちゃんが読むとグッと来たけど、あれはギャグのつもりで書いたもんやったんですよ」と説明。何かを思いつくとき、大喜利の答えがもとになっていることが多いそうだ。

続いて登場したのは酒井。刹那を感じさせるような柔らかい声で、2008年から今回発売された「板尾日記8」に収められている2012年までの抜粋された日記を読み上げていく。


隣りで聞いていた板尾は、「(鈴木が読んだ日記より)日にちが近くなったから、どきどきする感じが大きかった。8年分かぁーっていう感じやった」と率直な感想を告白。「酒井さんの声、気持ちいいですよね」と話すと、「それ、初対面でも言われたんです」と酒井。「いっぱい噛んじゃった」と照れくさそうに笑う彼女に、「噛んで当たり前。読みにくいですもん!」と言い放ち、笑いを起こした。

2人はドラマ「デカ 黒川鈴木」で初共演したが、「『板尾日記』は、はじめから読んでいました」と話す酒井。「日記を朗読するというのは、かなり独特でした。みなさんもどういう気持ちで観てらっしゃるんだろうと考えると不思議でしたけど、板尾さんらしいイベントですよね。私は、ずっと『板尾日記』を読んでいたから、共演前から板尾さんのことを他人とは思えなかったんです。やっぱり他人の日常をかいま見る機会って、そうそうないですからね。今日来ていらっしゃるお客さんも、『板尾日記』ファンなんですよね?」と客席へ語りかける。

「僕は人にどう思われようが、気にしないんですよ。俺の日常を知ったところで……と思うけど、お金を払ってくれたり、読んでくれてる人がいることで、人とのつながりを持てる気がしてるのが、いまはうれしい。一方通行のようで、実はつながってる気がするんですよね」と切々と語る板尾。もちろん、「穴にハマったら、ここにいる人は助けてくれるんやろうなぁ」と笑いを誘うことも忘れていない。

「俺が亡くなったら、みなさん、お葬式に来てください。一般ではなく、『板尾日記』読者としての席を設けます。もちろん持っている刊行数の多い人が、前のほうに座れますよ。それは資本主義なんで、すみません」と延々と語り続ける板尾に、笑いながら「何言ってるんですか!」とツッコむ酒井。それに対して、板尾も笑いながら「わからないです!」と首を傾げていた。

イベント終了間際には、「板尾日記」に出てくる“ポコ”ちゃんこと、8か月になる娘を連れて出て来た板尾。キュートなポコちゃんを抱いたまま「今日は個人的に、僕が楽しかったです。みなさんに楽しんでいただけたかどうかはわかりませんけど、今年の日記も書き始めてるんで、また来年、何かやりたいと思います」とお客さんへお礼。サイン会も含め、終始あたたかい雰囲気に満ちたイベントとなった。

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