街灯で勉強する少女に救いを、中国版ツイッター拡散で地元メディア動く。

2012/11/28 19:27 Written by Narinari.com編集部

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ネットのおかげで、これまであまり報じられなった世の中の出来事が多くの人々の関心を集めるようになっているが、先日、中国で報じられた一件もまさにこうした時代だからこその“産物”なのかもしれない。それは中国には数え切れないほどいる、出稼ぎ労働者の子どもを取り巻く厳しい境遇に焦点を当てた話題だ。

中国紙燕趙晩報などによると、この一件が広く知れ渡るきっかけとなったのは、11月15日夜のあるツイート。Daily-zxcというユーザーは自身の微博(中国版ツイッター)で「少女の名前は媛媛、8歳の小学校3年生です。彼女は学問・品行ともに優れていて、学校が終わった後、よくおじいちゃんと一緒に外でパンを売っているんです。街灯の下、彼女は地べたに伏せるようにして、宿題をやっています。彼女の家庭状況はとてもよくありません」とツイートし、こうした出稼ぎ労働者の子どもたちにもっと関心を持つよう訴えた。

文章とともに投稿された9枚の写真には電柱の街灯の下に佇むおじいちゃんと媛ちゃんの姿が写し出されており、多くのネットユーザーの関心を引くことに。そこにはおじいちゃんが看板の前で接客する姿、媛ちゃんの笑顔などが収められているが、中でもネットユーザーの心を揺さぶったのが外套を着た媛ちゃんが地べたに座って必死に勉強している姿だ。

Daily-zxcの話では、2人を見かけたのは河北省石家荘市の街角とのこと。15日の夕方、永安街と中華大街の交差点を訪れたところ、とても寒い日であったにも関わらず、外で勉強している媛ちゃんの姿にショックを受け、思わず持っていたケータイで撮影したのだという。そして、彼女の名前や、彼女が置かれている境遇などを知るにつけ、ネットを使って多くの人に関心を持ってもらおうと考えたそうだ。

結果としてこのツイートが話題を呼び、地元メディアをも動かすことになったのだが、後に、媛ちゃんの本名は王媛ちゃん。おじいちゃんは69歳の王彦春さんと判明。2010年、王さんの息子夫婦が吉林省から同地に出稼ぎに来たそうだが、その後、王さん夫婦も故郷を離れて一緒に暮らすようになった。息子夫婦が共働きすることで2世帯を養っていたが、先日、息子の嫁が病気を患い入院。経済的に苦しくなったことから、「少しでも役に立てれば」と王さんは毎夕路上に立ち、パンを売るようになったのだという。それでも、稼げる金額は微々たるもので、毎日平均5元(約66円)程度の売り上げしかないそうだ。

王さんが媛ちゃんを連れて路上に立っているのも、妻と息子の嫁が入院、息子も付きっきりで看病しているため。毎日、学校が終わる夕方になると、王さんは媛ちゃんを学校に迎えに行き、その足で2人路上に立ち、パンを売っている。媛ちゃんが街灯を頼りに地べたにノートを広げて勉強していたのはこのためだ。

ただ、媛ちゃん自身は地元メディアに対して「寒くないです!もう慣れたよ」と笑顔で語り、この境遇を気にしていない様子。媛ちゃんのクラス担任は、媛ちゃんの成績が常にクラス上位5番目内に入っていることを語っているが、こんな逆境でもあきらめない強い心を、媛ちゃんは持っているのかもしれない。

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