“20歳までに喫煙”で寿命短縮、禁煙しない場合は男性8年・女性10年。

2012/11/02 16:24 Written by

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放射線影響研究所(広島県)の坂田律氏らは、20歳までに喫煙を始めて禁煙しなかった場合、平均寿命が男性で8年、女性で10年短縮していたことを、10月25日発行の英医学誌「BMJ」(2012; 345: e7093)に報告した。これまで、日本人の寿命に対するたばこの影響は数年程度で、欧米人より少ないという見方があった。今回の結果は、出生年がより新しい世代では喫煙本数が増え、喫煙開始年齢が低下したことが関与している可能性があるという。なお、35歳未満で禁煙すると、死亡リスクの上昇がなくなるという結果も出ている。

◎1945年以前生まれの男女を検討

坂田氏らは、1945年以前に生まれた広島・長崎の市民12万321人について、1963〜92年に郵送および診療所での聞き取り調査を行い、喫煙状況を確認。男性2万7,311人、女性4万662人のデータが収集され、喫煙状況の把握から1年後以降、2008年までの死亡を分析した。なお、全参加者の約半数は被ばくを経験しておらず、残る半数の平均全身被ばく量は170ミリグレイだった。

生まれた年代が新しい喫煙者ほど、1日当たりの喫煙本数が多く、喫煙開始年齢が低かった。なお、1920〜45年に生まれ(中央値1933年)、20歳までに喫煙を開始していた場合の平均喫煙本数は、男性で1日23本、女性で17本だった。

分析の結果、現在の喫煙者は非喫煙者と比べて死亡率が高く、生まれた年代が新しくなるに伴い上昇。リスク(標準的な死亡率に対する比)は、1920年までに生まれた男性で1.46倍、女性で1.51倍だったのに対し、1920〜45年生まれではそれぞれ1.89倍、1.81倍だった。

1920〜45年生まれの現在の喫煙者で、20歳までに喫煙を開始していた場合の死亡率は男女ともに非喫煙者の2倍以上に上り、リスクは男性で2.21倍、女性で2.61倍だった。

1920〜45年生まれで、20歳までに喫煙を開始していた男性の場合、現在の喫煙者は70歳時点の生存率が72%だったが、非喫煙者は78歳時点の生存率が72%。同じく女性の場合、現在の喫煙者は70歳時点の生存率が79%、非喫煙者は80歳時点の生存率が79%で、男性で8年、女性で10年の差があった。

◎35〜45歳での禁煙でも死亡リスク大幅減

一方、1920〜45年生まれで35歳までに喫煙をやめていた場合、リスクは1.02倍と超過リスクが消失。35〜44歳で禁煙していた場合も1.22倍と、リスクは大きく低減した。ただし、分析対象となった死亡数は少なく(過去の喫煙者でそれぞれ324人と246人の死亡)、統計学上の信頼度はやや低かったという。

坂田氏らは、過去に行われた日本人が対象の研究は1920年初頭に生まれた人々が中心となっていたため、喫煙の害が過小評価されていたのではないかと分析。「20年以降に生まれ、若年から喫煙を始めた日本人の喫煙習慣は、英国や米国の研究の参加者と類似しており、それらの結果と同様、喫煙によって約10年の寿命の損失があることが示された」とコメントしている。

※この記事(//kenko100.jp/news/2012/11/02/01)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(//kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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