危険な“立った状態”での浣腸、医薬品医療機器総合機構が安全情報。

2012/10/18 13:42 Written by

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医薬品医療機器総合機構(PMDA)は10月15日、グリセリン浣腸(かんちょう)の取り扱いについて、「立位(立った状態)による浣腸は危険!」との安全情報を発表した。これまでに、検査前の処置として浣腸を行う際、立位の姿勢を取ったためにチューブの先端で直腸に穴が開く「直腸穿孔(せんこう)」を起こした事例が数件報告されているという。

◎最適な姿勢は「左側臥位」

今回の医療安全情報で発表されたグリセリン浣腸の取り扱いに関する注意点は次の通り。

1.立位による浣腸処置時は、直腸穿孔の危険性に注意すること
2.浣腸時に製剤の部品(ストッパー)が直腸内に入り込まないよう目視しながら行うこと
3.浣腸の際は、できるだけ左側臥位により慎重に行うこと

1と3については、立位での浣腸の場合、前屈姿勢となりおなかに圧力が掛かるため、チューブの先端が直腸前壁に当たりやすくなり、穿孔の危険性が増すことが知られている。また、立位では肛門の位置が確認しにくいため、チューブの先端が目視できなくなる危険性もあるという。

PMDAは、結腸の解剖学的な特徴から浣腸時の体位について、左側を下にして寝る「左側臥位(がい)」が最も適当との見解を示している。また、チューブの挿入に当たっては抵抗を感じた場合、直腸壁にチューブが当たっている可能性があるため、少し引き戻すなどの対応を求めている。

立位での浣腸は「恥ずかしいので、自分でトイレで実施したい」などの理由で行われることがあるという。同様の注意は過去にも出ている。

神奈川県看護協会が2006年に出した患者安全警報のQ&Aでは、「立位で浣腸を実施し、人工肛門の造設や人工透析に至った例がある」「患者が説得に応じない場合、浣腸の指示を出した医師に相談の上、別の方法を検討する」ことのほか、すでにこうした注意喚起が行われていることから、万が一医療事故が起こった場合、医療施設の責任が問われることもあるとの回答が記載されている。

※この記事(//kenko100.jp/news/2012/10/17/01)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(//kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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