蜂の死招く奇妙な色の蜂蜜、フランスの養蜂家が頭を悩ます問題とは。

2012/10/06 09:22 Written by Narinari.com編集部

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フランス東部オー・ラン県の養蜂家たちが収穫した、“奇妙な色”のハチミツが話題を呼んでいる。青や緑、マロン(栗色)カラーのハチミツは、ミツバチがリボヴィレ草原の花から収穫するのを止め、“より簡単な手段”を選んだことが理由だと、オー・ラン県の養蜂組合のアンドレ・フリウ代表は説明。いったいどのような意味なのだろうか。

仏紙ル・モンドや仏放送局フランス2などによると、今年はじめ、この地域にある複数の農家が、有機性廃棄物や農水産加工物の残留物などを分解してエネルギー利用するために、バイオガスプラント(嫌気性消化処理設備)を設置した。このとき分解するために持ち込まれたモノの中に、同じ地方にある、チョコレート菓子「スニッカーズ」や、カラフルなチョコ「M&M'S」のメーカー、マース社の工場から出た廃棄物が持ち込まれていたそう。この大量にあった甘い廃棄物を発見したミツバチが、巣に持ち帰ることにしたというわけだ。

原因判明後は、バイオガスプラントの機械を扱うアグリバロー社もすぐに稼働を停止させ、残りの廃棄物も屋内に格納した。すると、お菓子を奪われたミツバチたちは、野原へ戻ってきたという。ところが、このカラフルなハチミツを集めた幾つかの巣箱のハチが死んでしまうという被害がすでに出ていることもわかった。

養蜂組合のフリウ代表は、集められたハチミツに対して、この着色が天然素材によるものかどうか、あるいは遺伝子組み換えによる素材なのかなど、品質や健康への影響を懸念。メーカーからは現段階では明確な回答を得られておらず、いくつもの不安を抱える状況の中では「売り物にはならないだろう」と考えているようだ。

この話題への反応が多く見られるフランスのSNSでは、「企業による環境破壊だ」「マース社がこのハチミツを買い取るべき」といった非難の声が上がる一方で、「ミツバチに政治的理念はなく、甘いモノが身近にあればそれを採集してしまうのは仕方のないこと」といった意見も。中には「スマーフ(フランス語圏で有名な青いキャラクター)のハチミツとして売り出せば良いのに」といった冗談も見られた。

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