9月30日に中秋節を迎えた中華圏の国・地域では、当日に向けてさまざまな月餅が売りに出され、販売合戦が繰り広げられていたが、面子を重視する中国ではギフト品としては特に豪華できらびやかな包装の“高級月餅”が喜ばれる傾向がある。山西省大原市で暮らす孫さんも先日“高級月餅”を購入し、日ごろの感謝を込めて友人らに贈ることにした。ところが、箱を開けてびっくり。中は1個の月餅すらない、空の状態だったという。

中国紙山西晩報などによると、山西省大原市で暮らす孫さんは数日前、平陽市のあるスーパーマーケットで月餅を5セット購入した。中国では、月餅は中秋節を祝う上で欠かせない品であり、また、月餅を贈ることは家族だけでなく、普段お世話になっている取引先や友人に感謝を示す上で重要な伝統文化のひとつとなっている。そのため、孫さんはここぞとばかりに奮発し、600元（約7,400円）以上もする高級ブランドの月餅セットを購入した。

しかし、後に気付いたことだが、5セットのうち2セットは空箱の状態で肝心の中身がない。中に1個も月餅が入っていなければ、購入時に重さでわかりそうなものだが、“高級月餅”は包装がしっかりしており、重さのある豪華な箱やケースに入っていることから、全く気が付かなかったという。

いずれにせよ、大枚をはたいて購入した月餅が空っぽだったという現実は揺るがないため、孫さんはスーパーマーケットにクレームをつけに行くことにした。すると、スーパーマーケットの従業員はこれを無視。納得がいかない孫さんは月餅売り場に行き、購入した月餅セットを目の前で開けて見せたところ、それも空っぽの状態だった。これにはスーパーマーケット側も対応するほかなく、マネージャーは「月餅は注文から製造、そして出荷・入荷、販売に至るまでの一連の流れで多くの人たちの手が入るので、どこかでミスを招いてしまったようです」と謝罪。孫さんに賠償することになったそうだ。

なお、この一件に関し、中国人のネットユーザーからは「従業員がみんなで食べちゃったんだろね」「こんなに高い月餅なら盗んで転売する人もいるかも」「相変わらず包装だけに金をかけているね、月餅は」という意見や、「出ました毎年恒例の月餅詐欺」「孫さんはスーパーからいくら金をせしめたんだろう」など、被害者の孫さんを疑う声も出ている。