「夢売るふたり」海外参戦続く、トロント国際映画祭では終始笑い。

2012/09/12 06:00 Written by Narinari.com編集部

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松たか子、阿部サダヲ初共演の「夢売るふたり」のワールドプレミアが9月10日(現地時間)、第37回トロント国際映画祭で行われ、西川美和監督が舞台挨拶に登壇した。

トロント国際映画祭は、カナダ最大の都市トロントで毎年9月に開催される映画祭で、米国アカデミー賞の前哨戦とも言われる。コンペ部門がないため観客賞(ピープルズ・チョイス・アワード)が最高賞となるが、過去には「スラムドッグ$ミリオネア」(2008年)、「プレシャス」(2009年)、「英国王のスピーチ」(2010年)など、その後にアカデミー賞を受賞する作品が数多く選ばれ、高い評価を受けている映画祭だ。

今回、「夢売るふたり」でトロント国際映画祭に参戦し、満席となった客席に迎えられた西川監督は「(トロント映画祭の常連である師匠の)是枝裕和監督から、トロントはとてもいい映画祭だといつも聞いていたので、ここに来ることができて本当に嬉しいです」と興奮気味に挨拶。上映中は終始笑いが起き、エンドロールが流れると、会場は大きな拍手に包まれた。

上映後には西川監督へのQ&Aコーナーがもうけられ、「オリジナルの脚本に拘る理由は?」との質問には「今の日本では、原作がある映画がほとんどです。物語を作るのはいちばん大変な作業です。苦しいんだけれど、最もやりがいを感じる作業でもあります。私の場合は、自分が作った物語だからこそ、責任をもって監督ができるんです。だからオリジナルの脚本を書くことは今後も続けて行きたいと思っています」と回答。

また、「(映画の中で)食べ物がたくさん登場するのが印象的でしたが、何かそこに夫婦の関係を示唆しようとする意図はあったのですか?」と聞かれると、「そんな質問をされたのは初めてです(笑)。特にそういった意図はありませんでしたが、夫婦で結婚詐欺をする、という設定にしたときに、夫婦の職業は何がいいだろうと考えて、夫婦一緒に仕事をしている自営業がいいかな、では居酒屋をやっているのはどうだろう、と思ったのです」と説明するなど、客席からの質問に笑顔で答えた。

そして最後に「ちょうどこの映画の準備中に、日本では大きな震災がありまして、映画を作ること自体に疑問を抱いた時期もありました。でも、震災に遭われた方が、いつか日常に戻れた時に、また新しい物語を観られる環境を作っておきたいと思って、頑張って作りました。今日はありがとうございました」と語り、舞台挨拶を締めくくったが、終了後も熱狂的な世界の“西川ファン”に取り囲まれ、長時間質問攻めにされながらサインや写真撮影に応じる西川監督の姿が見られた。

なお、「夢売るふたりは」は、トロント国際映画祭に続き、第31回バンクーバー国際映画祭(9月27日〜10月21日)、第56回ロンドン映画祭(10月10日〜21日)、第48回シカゴ国際映画祭(10月11日〜25日)、第16回オーストラリア日本映画祭(11月16日〜19日)への出品が決定。今後も海外での評価がおおいに期待されている。

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