亡き祖父に捧ぐ涙の初本塁打、“何か”が舞い降り奇跡的な一打。

2012/08/13 18:40 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


野球リーグの試合に出場した米国のある高校生が、感動的な“人生初ホームラン”を記録したと話題を呼んでいる。それまでの試合でヒットすら打てていなかった彼だが、ホームランを放った打席の時に限って、奇妙な感覚が舞い降りて来たそうだ。

米紙ポスト・アンド・クーリアーや米放送局ABC系列WCIV-TVによると、話題の高校生は、サウスカロライナ州ウェストアシュリーの高校に通う16歳のジョナサン・セイボくん。普段、16歳以下の選手が集まった地元の野球チームでプレーしている彼は、7月に開かれた野球大会で、上の18歳以下のチームに抜擢されリーグ戦に出場する機会を与えられた。しかしさすがにプレーのレベルも違ったのか、最初の2試合に出場したもののヒットは0。厳しい結果に落ち込む最中、彼はさらにショックな出来事に見舞われてしまう。

それは、彼に野球をプレーさせるきっかけを与え、いつも一緒に野球の話で盛り上がった祖父フランクさんの死去。7月21日、83歳でこの世を去った祖父は亡くなる間際、孫の試合が「次はいつなのか」と気にしていた。会話の中で、祖父から「ホームランは打てそうか」とたずねられたというジョナサンくん。しかし、これまでホームラン自体打った経験がないこともあり、「(今回は)広い球場だし、ぼくもそんなに大きな体じゃないし…」と自信なさげな返事しか出来なかった。すると祖父は、「それならじいちゃんのために頑張ってみてくれよ」と応援。結局、最後の会話となったその言葉を胸に、彼は24日に行われた3試合目に臨んだ。

ただ、金属よりも飛ばないとされる木製バットを使う大会とあって、「いつも試合を行う場所より広い球場」でこの年頃の子たちがホームランを打つのは、監督ですら「あまり目にしない」と言うほどの至難の技。それでもフランクさんに捧げるため、喪章の意味を込めた黒のライン入りユニフォームを着てくれた仲間たちの想いも受け、この日の彼は最初の打席でツーベースを放ち、不振から抜け出す兆しが現れた。続けて2打席目、彼は「奇妙な感覚が舞い降りて来た」と感じながら、バッターボックスに向かったという。

そして迎えた3ボール2ストライクのフルカウント、振り抜いた打球はライナーでレフトスタンドへ一直線。必死に走る彼は1塁ベースを周ったところで“入った”と分かり、念願の人生初ホームランに、走りながら涙が溢れ始めた。ベースを1周してホームを踏み、自分に想いを託して力を与えてくれた天国の祖父へ届けと空を見上げると、彼の周りにはチームメートが集結。事情を知っていた仲間たちも彼のホームランを心から喜び、「みんな泣きながら飛び出して来て」祝ってくれたという。

こうして約束を果たした翌日の25日、ジョナサンくんはフランクさんの葬式に出席。そこで彼は、前日に「おじいちゃんがちょっと助けてくれた」お礼に、「誰よりも素晴らしいおじいちゃん、大好きだよ。安らかに眠ってください」と別れの言葉をしたためたホームランボールを、祖父に手向けたという。孫の初めての記念ボールを渡されたとあれば、きっとフランクさんも天国で大喜びだったに違いない。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.