“母の声”で早産児の健康改善、心拍音と共に聴かせると心肺事故減。

2012/07/12 17:23 Written by Narinari.com編集部

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早産児の場合、新生児集中治療室(NICU)で一命を取り留める確率は高いものの、NICUは子宮と全く同じ理想的な発育環境というわけではない。米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院新生児研究所のLaura Doheny氏らは、NICUに入院した早産児に母親の声と心拍音を録音して聞かせると、無呼吸や徐脈などの心肺イベント(心臓や肺に関する事故)の発生率が減ったとの研究結果を、英医学誌「Journal of Maternal-Fetal and Neonatal Medicine」(電子版)に報告した。

◎在胎期間33週以上の子供で高い効果

NICUには熟練した看護者が付き、気温と湿度が調節できる保育器も備わっている。しかし、Doheny氏らは「NICUに足りないものは、胎児が子宮の中で聞いていたであろう母親の声と心拍音だ」と考え、聴覚に働き掛ける処置が心肺イベント発生率に及ぼす影響を検討することにした。

研究では、同院NICUに入院した早産児14人(在胎26〜32週で出生)に、NICUの入院期間を通じて母親の声と心拍音の録音した音声を1日4回聞かせた。

その結果、母親の声と心拍音を聞かせた場合、通常の病院内の騒音や音にさらされている場合に比べ、全体的な心肺イベントの発生率が低下することが分かった。この効果は、在胎33週以上で生まれた子供で統計学的に著しく低下したという。

Doheny氏らは「今回、母親の声と心拍音を聞かせることで早産児の心肺イベントの発生率が低下し、短期的には早産児の健康を改善できることが示唆された」と結論。しかし、「症例数が14人と少なく、こうした介入が早産児の健康に影響を与えられると結論するには、さらなる研究が必要だ」と付け加えている。


※この記事(//kenko100.jp/news/2012/07/11/02)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(//kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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