婚活や恋人探しを目的としたイベントが盛んに行われる昨今ですが、米国ではとてもユニークな“パートナー探し”のパーティーが、最近注目を集めているそうです。

イベントの公式サイトや米ニュースサイトのハフィントンポストなどによると、このパーティーは“体臭”を鍵にパートナーを探すという企画。会場には、参加者それぞれが身につけていたシャツをフリーザーバッグのようなビニールの袋に入れ、テーブルに置いておきます。シャツに付いているのは番号だけで、所有者が誰なのかは明らかにされていません。そして、参加者は自分以外のシャツを鼻で嗅ぎ、“心地よく感じる”匂いなら、その番号を持って顔写真を撮影。一通り参加者のテイスティングならぬ“スメリング”が終わると、写真をスクリーンに投影し、自分のシャツの番号を持っている人の写真が出て来たら名乗り出て、そこで初めて対面するという、本当に体臭だけで出会いを決めるイベントなのです。

このイベントを考案したのは、アトランタ在住のジュディース・プレイスさん。25歳の彼女は、以前は出会い系サイトなどでパートナーを探していましたが、なかなか思い通りの相手が見付かりませんでした。ところがあるとき、「自分の好みや条件とは全く違い、それまでなら視野にも入らなかった」タイプの男性と知り合い、2年間の交際に発展。その彼との交際の決め手の理由が、「体臭が気に入ったから」だったのです。

この経験から、ジュディースさんは実験的にパーティーを開催。するとかなり高い確率でカップルが成立したそうで、彼女はこの「体臭が相性を決める」説に強い確信を持ちました。そしてその後も同様のイベントを企画し、次第に人気を集めてきたそうです。

しかし、なぜ体臭に好みの違いが出てくるのでしょう？ 実はその裏には、ちゃんと科学的な根拠があるのです。体臭にはフェロモンと呼ばれる複数の生理活性物質が含まれていますが、近年の研究によるとこのフェロモンは、遺伝子の影響で個人ごとに種類や分泌量が違うことがわかってきました。

シカゴ大学で、体臭とそれに対する反応を研究するマーシャ・マクリントック女史によれば「この物質を細かく感知出来るのが嗅覚」で、さらにそれを魅力的だと感じるかどうか、その生体反応を決定するのは、個人の免疫反応を司る遺伝子が強く影響。相手の遺伝子構造が自分より違えば違うほど、ヒトは相手の体臭を好意的に感じるそうで、これは生物学的に近親交配を防ぐために役立っていると考えられています。体臭が魅力的に感じるパートナーとなら、結果として強い子孫を残せる。このことを本能で認識しているからこそ、交際がうまく行くことに繋がっているという可能性はありそうです。

ジュディースさんは、今後このパーティを開催する都市を増やして行く予定とのこと。もしかしたら、近い将来、日本でも同じコンセプトのイベントが開かれるかもしれませんね。