“19年前の肉”入り缶詰が流通、スウェーデンで消費期限改ざん問題。

2012/06/19 10:30 Written by Narinari.com編集部

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長く保存できる利点から、緊急用の常備食としても重宝される缶詰。そうは言っても消費期限は必ずあるので、切れる前に食べるよう確認しておくことは重要だ。スウェーデンでは先日、消費期限を改ざんして消費者を欺き、19年前に製造されたコンビーフを流通させていた業者がいることを地元紙が報道。過去、知らずに該当の缶詰を購入していた消費者もいるため、多くの国民を驚かせる事態となった。

スウェーデン紙スヴェンスカ・ダーグブラーデットなどによると、この事実はスウェーデンの衛生当局が先日、ストックホルムにあるコンビーフ缶の販売元に抜き打ち検査を行って発覚したもの。缶詰の肉は、以前ポーランドのレストランでも消費期限が改ざんされて販売されていた事実を、2009年秋にスヴェンスカ・ダーグブラーデット紙が報道していたという。その後、スウェーデン国内でも同社製の缶詰を買った消費者が中身を不審に思い、当局へ連絡を入れていたそうだ。

しかし、「消費者を騙すつもりだった」との証拠をなかなか掴めない当局の対応は難航。販売元へ連絡を入れる一方で、今年2月に予定された予備調査は「中止」になるなど、行政の動きが鈍かったことも発見の遅れに繋がったようだ。そして最近になってようやく抜き打ち検査を実施。同社が消費期限切れの肉を販売し、なお2万缶以上を倉庫に保管していた実態が明るみになった。

問題となった肉は、もともと1993年に別の生産会社によって作られた缶詰に入っていたもので、国の備蓄として農務省に保管されていたもの。それから10年の消費期限を迎える前の2000年に、農務省は保有していた缶詰の売却を検討したものの買い手が見つからず、さらに9年間倉庫に置かれたままとなった。ところが2009年になって、期限切れの缶詰500トンを卸売業者が購入。この業者は別に1,000トンのコンビーフを用意し、それぞれを混ぜた缶詰を作ると、販売元の会社から市場に出荷されたという。

缶詰の消費期限はいずれも2013年に書き換えられ、消費者が購入前に肉の状態に気付くのは不可能であることを考えると、極めて悪質な話。また、ポーランドで見つかった缶詰を調べた研究者によると、肉は缶を開けた時点ですでに「腐敗していた」そうで、口に入れれば「食中毒になる危険性があった」という。問題発覚を受けて販売元は、缶詰を供給していたストックホルムとイェーテボリの23店舗からの製品回収を約束。衛生当局は法的措置も視野に入れ、さらなる対応も検討中としている。

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