はねられたメスに寄り添う犬、動物保護センター到着まで14時間半。

2012/05/27 14:53 Written by Narinari.com編集部

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米国で先日、ある女性がFacebookで紹介した写真が話題を呼んだ。そこに写っていたのは1匹のピットブル。この犬は交通事故で死んだ犬に14時間半も寄り添っていたそうで、現場を目撃した友人から話を聞いた女性が「引き取り手が現れてくれないか」と、Facebookで紹介。これが大きな反響を呼ぶことになった。

米放送局MyFoxフェニックスや米放送局ABC系列KNXV-TVなどによると、この犬が最初に目撃されたのは5月18日夜のこと。アリゾナ州フェニックスの大通り上で、2歳程度と見られるメスのピットブルが車にはねられ、中央分離帯上で体を横たえていた。そこに「ハーネスを付けた」オスのピットブルが現れると、まるで彼女を守ろうとしているかのように体を寄せて「鼻を擦り付ける」仕草などを見せ、離れる様子もないまま佇んでいたそうだ。

そんな光景に気が付き、食べ物や水を近くに置いた人もいたが、警察や動物保護センターへの連絡はなく、2匹の犬はそのまま翌朝まで一緒に。結果、ようやく連絡を受けた保護センターの職員が駆けつけるまで、実に14時間半にわたりオスの犬はずっと寄り添い続けていた。残念ながら保護された際にメスはすでに息絶えていたものの、オスは元気な状態だったという。

Facebookを使った動物保護活動を行っている、シカゴ在住のカリン・アスパンさんは、5月21日にフェニックスの友人からこの話を聞いた。彼女は14時間半も仲間に寄り添った犬に感動を覚えると同時に、それだけの時間を人間が放っておいた事実に「大きな不満」を感じたそうだ。すると彼女は、助かった犬が「素晴らしい家に貰われて欲しい」という希望と、2匹の対応を迅速に行わなかった「フェニックス市長のもとに抗議の電話が殺到するように」との想いから、友人が撮影した2匹の写真と共に、話の経緯をFacebookに投稿した。

すると、彼女の期待はすぐに実を結ぶことになる。市長へ抗議の電話が殺到――したかどうかは不明だが、Facebookの写真が話題を呼び、多くの米メディアがこの話を報道。「ディーボ」と名付けられた犬は当初、ハーネスが付いていた点から「飼い主がいる」と見られていたが、5月23日までの保護期間中には発見できなかったという。

また、健康状態には問題はないものの、依然落ち込んでいる様子のディーボは、その後「犬のうつを治療する」別の保護センターへ移送される見込みが立ち、治療が終わり次第、新しい家を探す運びとなった。

同じ犬の死を理解し、未だショックを引きずっているとされるディーボ。しかし、アスパンさんと報道の力によって存在が広く知れ渡ったことで、引き取りを希望する人も少なからず現れるはずで、今後は素晴らしい飼い主のもと、幸せな時間を過ごしてもらいたい。

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