“奇跡の子”育てる苦悩と感謝、母親の告白動画が米国で大きな反響。

2012/05/16 10:56 Written by Narinari.com編集部

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5月13日の「母の日」を前に、生まれて来た我が子への感謝を告白する母親の動画が、米国で大きな話題を呼んだ。1枚ずつメモ書きで、夫との出会いから現在までを紹介するこの母親は、昨年2月に待望の男の子を出産。ただし、妊娠中から異常が認められると医師に指摘されていた男の子は、顔に障害を持って誕生し、母親はさまざまな苦悩と闘いながら時間を過ごしてきたという。

米放送局ABC系列KTRK-TVや米紙ニューヨーク・デイリーニュースなどによると、話題になっているのは、5月9日付でYouTubeに投稿された「Mother's Inspiring Video About Her Blind Baby Boy.」(//www.youtube.com/watch?v=aeItyVFx0Zo)という7分超の動画。登場するのはテネシー州ウッドベリーに住む25歳の母レイシー・ブキャナンさんと、1歳の息子クリスチャンくんだ。動画の中で彼女は“奇跡”と語る、特別な息子を得た喜びを明かしていく。ただ、その心境へ至るまでの苦悩や葛藤も紹介され、動画を見た多くの人が、そうした困難を乗り越えて明るい姿を見せる母子に心を打たれているようだ。

動画はクリスチャンくんを抱っこするレイシーさんが、撮影しているiPhoneのカメラに「15歳でクリスと出会ったとき、恋に落ちた」との最初のメモを見せてスタート。その後、夫クリスさんと21歳で結婚し、23歳でクリスチャンくんを妊娠して2人は「大喜びした」そうだが、すぐに厳しい現実に直面する。妊娠19週目、医師から連絡を受けた彼女が話を聞きに行くと、お腹の子どもに異常が見つかり、死産もしくは障害を抱えて生まれる可能性が高いと告げられたそうだ。その現実にショックを受けながらも、レイシーさんは2011年2月18日に出産。命の危機を回避して安心したのも束の間、彼の状態は「想像以上に悪かった」という。

クリスチャンくんが抱えているのは顔面裂という症状で、目と口に現れた彼の場合は今後も目は見えず、口は閉じられない状態のまま。そして、そんな彼の育て方に悩んだ彼女を、さらに周囲からの声が追い込んだ。息子を外に連れ出すたびに聞こえる「あの子見て」と囁く声や、直接「この子どうしたの?」と聞いてくる人、さらには「この子を中絶せずに産むなんて」と言ってくる少女もいたそう。まるで彼女を責めるような周囲に、いつしかレイシーさんは「誰か一緒にいないと」親子で外へ出かけられなくなった。

しかし日々逞しく成長していく彼に「勇気づけられた」とも。ある日、いつものように彼を見つめる人が現れると、彼は覚えた笑顔を返すようになり、見つめる人たちも笑顔で接するようになった。それがきっかけで我が子の素晴らしさを感じ、同時に心の重みも取れた若い母親は、積極的に周囲と交流を図るようになり、「新しい友だちもたくさん出来た」そうだ。「中絶しないで良かった」と明かす彼女は、最後に「彼は奇跡」と書いたメモを置くと、母の胸で眠っていたクリスチャンくんもカメラに向けてキスをし、動画は終了する。

YouTubeのコメント欄には、感動の声や親子を応援するメッセージが数多く並んでおり、再生回数は120万回(5月15日現在)を突破。また、2人の様子を紹介するブログやFacebookも反響を呼び、米国でいま最も注目を集めている母子となった。現在は「順調に育っている」という我が子のおかげで、しっかりと母の強さを手に入れたレイシーさん。介護施設で働く傍ら「彼と同じ問題に立ち向かう人を援助できるように」と法律の勉強も始めたそうで、今後も母子ともども逞しく成長して、幸せな生活を送って欲しいところだ。

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