写真を“説明する”カメラ開発、被写体の情報を文字にして出力。

2012/05/01 05:28 Written by Narinari.com編集部

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米国のある学生がデジカメからヒントを得たという、一風変わったカメラを開発し、話題を呼んでいる。そのカメラはシャッターを押すと写真ではなく、撮った被写体の“説明文”が書かれた紙が出てくる、その名も「Descriptive Camera(記述するカメラ)」だ。

このカメラを開発したのは、ニューヨーク大学に通うマット・リチャードソンさん。公式サイトの説明や英放送局BBCなどによると、彼はデジカメで撮影すると「日付や時間」といった情報が文字で出てくる点に着目した。そこで「写真の内容に関する情報」を説明するカメラがあっても良いのではと考え、このカメラを制作したそうだ。

サイトで公開されているカメラ本体の写真を見ると、装置からレシートのような紙が出ている。その仕組みは、本体のシャッターを押すと、搭載されているUSBウェブカメラで一度画像として保存。画像はインターネットを通じて、少額の報酬でユーザーに仕事を依頼できるサイト「Amazonメカニカル・ターク」へ転送される。そして「写真を文章で説明して欲しい」という彼の仕事依頼に応じる人が現れると、送り返された説明がカメラにあるプリンターから出力されるという流れだ。

つまり、このカメラで実際に写真を撮っても、現時点ではしっかり写真の“説明文”が出てくるかは、依頼に応じる人がいるかどうかにかかっている。リチャードソンさんは当初「非常に安い報酬」で説明の依頼を出したところ、「戻って来るのに15分」かかったため、「反応をもっと早く」しようと報酬を徐々に上げて1.25ドル(約100円)にすると、「3分から6分」で概ね返って来るようになった。

サイトには、実際に撮影して返って来た“説明文”もいくつか公開。例えばシートで覆われたビルの写真には「これは荒廃した建物の色褪せた写真。崩壊しているようで、修理の必要性がある」との紙が出てきたそうだ。説明をしているのが人間だから、感想めいた内容が書かれているのは面白いところ。ただ、結局は撮影者以外が記した“説明文”を見るよりも、やはり直接撮影した写真を見たほうが思い出を蘇らせやすい気はしなくもない。

リチャードソンさんも“説明文しか出て来ないカメラ”が普及するとは、もちろん考えてはいないという。彼の希望は、今後のデジカメに日付や時間と同じように「自動的に写真を言葉で説明する機能」が付けられ、誰もが大量の写真データを管理しやすくすることにある。今回開発されたカメラは、世間にその提案をする意味で、アイデアを簡単な形にしてみた試作品。このアイデアが実用化されれば、ファイル名やタグで管理をしなくても、簡単なキーワード検索をするだけですぐに見返したい写真が見つかる――ということになりそうだが、果たして。

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