斬新な“未来型”刑務所が話題、米国が抱える問題解決への提案。

2012/04/25 06:52 Written by Narinari.com編集部

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米ペンシルバニア大学に通う2人の学生によって考案された、刑務所の斬新なデザインが話題を呼んでいます。この刑務所、まずデザイン自体に目を奪われますが、実は現在の米国が抱える刑務所の問題点に着目し、それを解決しようというアイデアから生まれた画期的なものでもあるのです。

米ニュースサイトのハフィントンポストなどによると、この刑務所のデザインを発表したのは、ペンシルバニア大学デザイン学部に通う2人。「499 SUMMIT」と命名された刑務所は、3つの台形アーチ型の建物を組み合わせたタワーで、パッと見はSF映画に出てくる要塞か何かのような雰囲気を漂わせています。高層タワー化することによって限られた土地のスペースを最大限に生かすという点だけでなく、この形状に落ち着いた理由にはもうひとつの意味があるそうです。

米国では受刑者が刑期を終えて出所した後に、社会に適応できず、再び罪を犯して刑務所に舞い戻るケースが後を絶ちません。例えばニュージャージー州では毎年14,000人ほどの受刑者が刑務所を出所しますが、その3人に2人が5年以内にまた舞い戻ってくるという統計があるほどです。

今回「499 SUMMIT」をデザインした2人はこの問題に着目。受刑者を監視しつつ、社会復帰へのモチベーションを上げ、さらにそのプロセスをスムーズに行うためには、3つのステージが必要であると考えました。

受刑者は「499 SUMMIT」に入所すると、まず、台形ビルの片方の一番下の階から、比較的ほかの受刑者と隔離された生活を始めます。そして品行の善し悪しなどを考慮した“成績”が上がっていくたびに、上のフロアに“昇級”。これが最初のステージです。次に最上階を過ぎた時点で、今度は台形の頂点にある広いフロアで第2のステージへ。ここでは受刑者間の隔離も最小限となり、その後の第3のステージにおける社会復帰プログラムへ進むための準備を整えます。

そして最後の第3ステージでは、受刑者に定期の野外労働の機会を与えるなど拘束時間は次第に少なくなり、逆に自由と責任が増えていきます。こうしたプロセスを経て、出所後の生活に近い日常に近づけていくのです。

このデザインに対し、ハフィントンポストのコメント欄には「刑務所にしてはかっこ良すぎる」「建物建設だけでもお金がかかりすぎるのでは?」といった意見も寄せられていますが、斬新なデザインに人々が注目していることは事実。果たして、この“未来型刑務所”が本当に建築される日は来るのでしょうか。

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