余命わずかの夫に赤ちゃんを、米女性が予定よりも2週間早く出産。

2012/02/19 12:37 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


医師から宣告された夫の余命は「あと数日」。そのとき、妻のお腹にはもうすぐ誕生を迎える赤ちゃんが宿っていました。夫の願いは生きている間に赤ちゃんを腕に抱くこと。その願いを叶えるためにとった妻の選択が、いま、米国で話題を呼んでいます。

米放送局KHOU-TVによると、この女性はテキサス州に住むダイアン・オールガーさん(31歳)。昨年、2人にとっては3人目の子ども(※ダイアンさんにはほかに連れ子が2人いる)となる赤ちゃんを妊娠し、夫のマークさん(52歳)と喜んでいましたが、それも束の間、4月には彼が大腸がんであることが判明しました。そこから手術と6か月にわたる抗がん剤投与の治療を経て、がん自体の予後は大変良かったそうです。ところが、11月に入るとマークさんは息切れを起こしやすくなり、次第に呼吸が困難な状態に。そして、年が明け2012年を迎えた直後に、病院で肺線維症(はいせんいしょう)と診断されました。

この病気は通常ならば呼吸と共に伸び縮みする肺の組織が何らかの要因で繊維化し、固く萎縮してしまうもの。マークさんの場合は、治療で使用した抗がん剤が肺を痛めてしまったのです。それでも治療をきちんと行えば退院できると信じていた2人でしたが、1月16日に夫婦は絶望的な宣告を受けることになります。マークさんの肺線維症は治療ができず、彼に残された時間はたった数日だろう、と。

そのとき、ダイアンさんの出産予定日はまだ2週間先。しかし、マークさんが赤ちゃんとの対面を切望しているだけでなく、ちょうど彼女にも陣痛の兆候があり、さらには産婦人科医が「数週間早いけれど、赤ちゃんはもう産まれて来ても問題ない」とアドバイスしてくれたことなど、諸条件が重なったため、もうダイアンさんに迷いはありませんでした。「産まれた子どもを最初に抱っこするのは、彼以外には考えられませんでしたから」(KHOU-TVより)と、医師に“誘発分娩”をして下さい、と依頼したのです。

そして1月18日、特別に広い分娩室を用意されたダイアンさん。彼女が乗った分娩台のすぐ隣には、病院の計らいでマークさんが横たわるベッドがありました。そうして誕生したばかりの娘サバンナちゃんを腕に抱いたマークさんはその場で涙を流し、45分間ほど彼女を抱き続けていたそうです。

翌日から容態が悪化したマークさんは、また何度かサバンナちゃんを抱く機会があったものの、弱った体では数分しか持続できず、21日には意識不明に。それから目を覚まさないまま、2日後、家族たちに見守られながら息を引き取りました。

ダイアンさん夫婦のことは米国で広く報道され、新聞のネット版やオンラインニュースサイトには数多くのコメントが寄せられています。中には「赤ちゃんを予定日前に出産して大丈夫だったのか」という否定的な声もありますが、多くはダイアンさんの選択を支持するもの。彼女がきちんと医師に相談した上で出した選択だということを踏まえれば、夫にかけがえのない贈り物をしたと言えるのではないでしょうか。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.