コンクリートに囲まれた世界の大都市は、人間には便利でも、自然の動植物が生息するには厳しい環境。しかし、たとえそうした環境下でもたくさんの自然を育んで欲しいと、オランダの建築事務所があるコンセプトを生み出した。それは「Sea Tree」という、いくつもの階層を持つ水上の巨大建築物。海や川に建設すれば植物や魚、鳥の憩いの場となり、大都市の環境対策に効果があるとし、日本での建設にも期待を寄せているようだ。
英紙デイリー・メールなどによると、「Sea Tree」のデザインを発表したのはオランダの建築事務所ウォータースタジオ。多くの建物が林立する大都市ではもはや「新たに公園を作るのは難しい」と考え、その解決策として「Sea Tree」の構想を生み出した。
この「Sea Tree」の最大の特徴は、いくつもの階層にある。多くの植物が自生・繁殖できる階、“人工のサンゴ礁”としての役割を果たす階、鳥たちが羽を休める場としての階など、各フロアでさまざまな自然を生み出すことができる。
そして「Sea Tree」が備えるもう1つの特徴は、水中に浮かせてケーブルで固定する建築物という点だ。大がかりな基礎工事などが必要ないため設置場所の自由度が高いだけでなく、設置後であっても移動ができることから、ウォータースタジオは「土地を買うような高いコストはかからない」とアピールしている。世界的な需要に期待しており、すでに「強い関心を示すクライアント」もいるそうだ。なお、順調に行けば、2年以内には最初の「Sea Tree」が、世界のどこかにお目見えする可能性もあるという。
ウォータースタジオは「とても役立つはず」として、米ニューヨーク沿岸、英ロンドンのテムズ川と共に、東京も“設置を期待する場所”に挙げている。ひょっとすると将来、「Sea Tree」が東京湾の新名所になるときが来る……かも?