その愛らしい表情・仕草や希少性などから世界的にも人気のパンダは、どこの動物園でも大人気。12月4日、英国のエジンバラ動物園にも、同国17年ぶりとなる待望のパンダが2頭到着し、16日からは一般公開も始まった。公開早々、飼育舎の前には一目見ようとする人たちの長蛇の列が出来るなど英国の人々を虜にしているそうだが、このパンダの人気に予期せぬ問題が発生したという。問題の主は、それまで動物園の人気を支えてきたペンギンたちだ。
英放送局BBCや英紙スコティッシュ・デイリーレコードなどによると、パンダの公開によって作られた長い行列に対し、ペンギンたちが突如反旗を翻したかのようにフンで攻撃する事例が発生。18日にはフンがジャケットに当たり、驚いて声を上げている人がいたという目撃情報があるほか、パンダを見に動物園を訪れた41歳の男性の近くにもフンが飛来し、「油っぽくて魚の匂いがした」(BBCより)という。この一件により男性は「見物客が当たらないように、動物園は対策を講じるべきだ」と指摘している。
問題のペンギンたちは、25万ポンド(約3,045万円)をかけて新たに建設されたパンダ舎の隣にある飼育舎で生活。そのため好奇心旺盛なペンギンたちは、急に忙しくなったパンダ舎がずっと気になっていたようで、「何が起きているのか見ようと」壁に沿って集まっている様子がよく見られたという。そしてパンダ公開と共に出来た行列がペンギン舎の近くにも伸びると、突然彼らはその人たちに対してフンで攻撃する行動を取り始めたそうだ。
こうしたペンギンたちの行動に対して、エジンバラ動物園職員のゲイリー・ウィルソンさんは「嫉妬からの行動ではないと良いんだけど」と少し不安な様子。というのもエジンバラ動物園のペンギンたちは、これまで定点カメラ映像がインターネット上で公開され話題になるなど、園で飼育される動物の中でもひときわ注目を集めてきた存在で、ウィルソンさんは人々の視線がパンダにシフトしたことに嫉妬を感じているのではないか……と気になっているようだ。
エジンバラ動物園にとっては「5年間の努力」(スコティッシュ・デイリーレコード紙より)の末にやっと貸与が認められ、実現にこぎ着けたパンダの公開。初日には「1万人がチケットを予約」するなど、入場者数が昨年比2倍の伸びを見せるほどのパンダ人気に、ペンギンたちだけはどうも納得がいかないのかもしれない。
現在のところ、“フン攻撃”を笑って流す客も少なくないそうだが、動物園側はペンギンの飼育舎に透明のガラスパネルを設置し、客が被害を受けないような対策を検討しているという。