「体内に25年」のペン使えた、英国の女性が転倒時に誤って飲み込む。

2011/12/24 16:14 Written by Narinari.com編集部

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ある日、英国で暮らす76歳の女性は、下痢や体重減少などの体調不良に襲われ病院へと向かった。診察にあたった医師は女性の腸が炎症を起こしていると判断し、状態を見るためにCTスキャンで体内を詳しく調査。すると、そこにあったのは明らかにペンと思われる物体だった……。

この話は、女性を診察した英王立デボン・アンド・エクセター病院のオリバー・ウォーターズ医師が、医師からのさまざまな症例報告を紹介するデータベースサイト「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル・ケースリポート」で明らかにしたもの。それによると、女性は25年前、鏡を見ながら扁桃腺を調べようとしてフェルトペンを手に持っていたところ、誤って倒れた弾みで飲み込んでしまったそうだ。

大きな異物を体内に入れた女性は、その後、夫を連れて病院へと向かったが、あまりの状況説明に夫も医師も彼女の言葉を信じなかったという。さらにこのとき、医師は胃のX線検査をしたものの、それでは飲み込んだペンは発見されなかった。この点について、米放送局ABCの取材に答えたサンフランシスコ総合病院の医師は、「恐らくペンに金属が使われていなかったから、X線に映らなかったのでは」と推測。ボールペンのように金属部品が使われていれば、「X線画像に現れていたはず」と見ている。

結局自分の身に起こった話を信じてもらえず、その証拠も得られなかった女性は、そのままペンを体内に置き続けることに。それから25年、女性もすっかり忘れていた胃の中のペンは、腸の炎症を起こして病院で詳しい検査を受けたおかげで、ようやくその存在が確認された。ほかの消化管には影響を与えることなく、胃の中で密かに時を過ごしたペン。しかし、明らかな異物を見つけたウォーターズ医師は、今回の症状との因果関係についてはハッキリと分からなくとも、ペンを取り除く方針を決めた。

そして行われた手術で、25年ぶりに女性の体外に取り出されたペン。「通常、ペンの内部のような物は胃酸で溶ける」(ABCより)というが、女性の場合は丸ごと飲んだからなのか、取り出されたペンはほぼ原型を保っていた。さらに体内という環境が影響してか、25年経ってもペン先にはインクが染み出していたそうで、紙にしっかり文字が書けたという。

ちなみに、仮にボールペンを飲み込んでいたら「胃の内壁に刺さっていた可能性がある」とされ、結果的には飲み込んだのがフェルトペンで良かったのかも――と見る向きも。この報告の中でウォーターズ医師は、最後に「時としてどんなにあり得なそうな話であっても、患者の話には信じる価値があるようだ」とつづり、ほかの医師に教訓とするよう呼び掛けている。

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