“真っ青な村”存続巡り投票、映画の宣伝に協力したら観光客激増で。

2011/12/22 11:51 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


高い失業率など経済状況の厳しさばかりが伝えられるスペインで、いま、多くの観光客で活気に溢れている村があるという。スペイン南部マラガ県にある、人口221人の小さな山間の村フスカル。今年7月に世界公開された3Dアニメ映画「スマーフ」(日本は9月公開)の宣伝の一環として、6月に依頼を受けた村がすべての建物を青く塗り替えたところ、たくさんの観光客が訪れる人気スポットになったそうだ。そうした中、スポンサーとの間で決めた原状回復の約束期限が間近に迫った先日、建物の色を青いまま維持するか、元に戻すかを決める住民投票が行われた。

村の公式サイトなどによると、フスカルの村に大きな転機が訪れたのは6月16日のこと。7月の「スマーフ」公開に先駆け、プロモーションを行う場所を探していたソニー・ピクチャーズ・アニメーションがフスカルを候補地として選ぶと、村の建物全部を登場キャラクターと同じ“青”に塗り替えて欲しいとオファーを出した。もともとは美しい白の建物が並んでいたフスカルだったが、これを受諾。「4,000リットルのペンキ」(英紙インディペンデントより)によって教会やお墓まで塗り替えられ、“青い村”へと生まれ変わった。

もちろん、ソニー・ピクチャーズ側は予め「プロモーションが終われば白く塗り直して、元の状態に戻す」(英紙デイリー・テレグラフより)と約束。ところが“青い村”となったフスカルには多くの観光客が訪れるようになり、村は今までにない活気を味わったという。それまで観光客は「年間300人ほど」だった静かな村は、話題作のプロモーションの舞台となったことで、「この6か月で8万人」が訪れる人気観光スポットに変貌。「警察も交通整理に追われる」(英スカイニュースより)ようになり、フスカルは“青い村”を保って半年間賑わいを享受してきた。

しかしソニー・ピクチャーズ側との契約は、2011年内で終わりを迎えようとしている。これを過ぎると「青く保つコストだけでなく、白く戻すのも村の責任」(フスカル村公式サイトより)となるほか、日々の生活を営む住民の中には、少なからず不満を漏らす人もいたようだ。そこで12月18日、村は「村をこのまま維持するか、元の状態に戻すか」を問う住民投票を行い、村の将来を住民たちの判断に委ねた。

そして判明した結果は「維持に賛成」が141票、「反対」が33票で、このまま“青い村”として歩んでいく道を決定。フェルナンデス村長は、プロモーション活動のおかげで「地元経済を潤わせ、私たちの幸せや夢、就職率など、さまざまなことのレベルを上げてくれた」(スカイニュースより)と話し、大差での維持賛成にも喜んでいるそうだ。「スマーフ」をモチーフにした結婚式やマラソン大会なども開かれ、すっかり勢いに乗っている様子のこの村。スペインを訪れる機会があれば、足を運んでみるのも面白そうだ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.