生徒が教師を評価する中学校、過去3年間に15人処罰受け2人がクビに。

2011/12/01 10:10 Written by Narinari.com編集部

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自分たちが授業を受ける教師は、本当にこの仕事に適しているのかどうかを生徒が評価する――そんな制度を導入している中国の公立中学校が注目を集めている。制度を導入してすでに3年になるというこの学校。これまでに2人の教師が生徒からダメ出しを受け、クビになったそうだ。

中国紙武漢晨報などによると、この中学校は湖北省武漢市にある黄陂実験中学。生徒による教師の評価制度が導入されたのは3年前のことで、生徒たちはアンケート形式で教師を評価していく。「教え方」「授業への準備」「宿題の添削方法」など計10個の項目があり、中には「特定の本を買わせていないか」といった項目も含まれているという。各項目の評価はAからDの4段階に分けられ、すべての評価を総合した上で、教師に何かしらの賞罰が与えられるという流れだ。なお、生徒はアンケートの記入にあたり、匿名でも良いことになっている。

同校で数学教師を務める悟聞さん(仮名)は、この夏はB×5つ、C×4つ、D×1つの評価で、最高評価のAはひとつもなかった。悟さんは生徒をよく大声で叱るそうで、それが低評価を招いた原因だと自身は分析している。実際、悟さんが受け持つクラスの学生2人からは「(クラスのみんなは)悟先生のことが好きではありません」という直球の意見が寄せられ、さらにそのうちのひとりは「自分の評価は全部CかDだよ。基本的にAとBは無いかな。だってあの先生、答えを間違えると大声で怒鳴るんだ」と、採点理由を語った。

悟さんのこの評価は決して“優”ではない。そのため、当初「クビにされるに違いない」と思ったそうだが、結局、学校側が悟さんの若い年齢を考慮し、クラス担任を外されるだけで済んだ。ただ、クラス担任の手当て400元(約5,000円)は減給されてしまった。

これだけ聞くと教師にとっては辛いだけの環境のようにも思えるが、悟さんはこの評価制度に良い部分も感じている。「生徒はまだ若いので、主観的な判断が先行するかもしれない」と問題点があることは認めつつも、「この評価制度のおかげで自分は変われた」と、一定の効果はあると感じているそうだ。

校長の胡新文さんによれば、この制度によりクビになったのは2人、クラス担任を外されたのは3人で、この3年間に計15人の教師が何かしらの処罰を受け、配置転換されている。制度を導入した学校の代表者からすれば、デメリットよりもメリットが大きいと見ているようで、「昔よりも朝早く出勤する教師が増えましたよ。授業中のおしゃべりも減ったし、授業の準備もきちんとするようになった。教師、生徒の相互交流も増えましたしね」と語っている。そのため、今後もこの評価制度は続けていく意向だという。

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