車いすのキャプテンに恩返しを、米高校アメフト部の仲間がサプライズ。

2011/11/09 14:17 Written by Narinari.com編集部

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米国のある高校アメフト部で先日、試合後にチームメイトが用意したサプライズで、チームのキャプテンを喜ばせる出来事があった。それは筋ジストロフィーを患い、10年間車いすで生活してきたキャプテンの「フィールドに立ちたい」という夢を叶えるものだったという。

10月28日、オハイオ州のフェアフィールド・ユニオン高校アメフト部は、地元ティーズ・バレー高校との試合を行った。結果は敗れたものの、この日に限ってフェアフィールド・ユニオン高校の選手たちは、誰もが大きな喜びを感じる1日になったという。なぜなら、いつもフィールドの外からチームを懸命に応援し、キャプテンとして支え続けてくれたトレント・グレーズくんを、初めてフィールド内に送り出せたからだ。

10年前から筋肉が衰えていく筋ジストロフィーを患ったグレーズくんは、車いすでの生活を余儀なくされているものの、「どんな車いすのスポーツもこなす」(米地方紙ランカスター・イーグルガゼットより)スポーツマンで、トム・マッカーディコーチの誘いもあり、この高校ではアメフト部に入部。コーチが「彼は素晴らしい子で、私は心から彼を愛している」と語るほど厚い信頼を寄せられ、プレーができなくても部員たちとの間には深い絆があった。

その理由は、誰よりもチームを愛しているから。「雨のときでさえ時間通りに現れ、いつも練習の準備をする」(米放送局CBS系列WBNS-TVより)彼は、コーチの片腕として仲間たちを見つめ、時に厳しく注意し、時に励ましてこのチームを支え続けて来た。そしてキャプテンに就任し、全員の精神的な支柱となった彼に対し、部員たちはこの日「フィールドに立ちたい」という彼の夢を叶え、日頃の恩返しをしようと考えたそうだ。

試合終了後、フェアフィールド・ユニオン高校からの申し出に応じ、対戦相手のティーズ・バレー高校もサプライズ計画に参加。彼の愛称「Big T」と書かれたシャツを着た観客からは、一斉に「We want Trent!(トレントが見たい)」の大合唱が始まり、これを聞いたグレーズくんは驚きながらもコーチへ出場を直訴。こうして、ずっと夢見ていた舞台に車いすで向かった。

そのプレーの様子を収めた映像は、YouTube上にも「Trent Glaze Touchdown Story - Wheelchair-Bound Football Player」(//www.youtube.com/watch?v=n6itfTib-Po)とのタイトルで公開されている。攻撃が始まり、素早くボールを渡されたグレーズくんは、仲間のガードで敵を抑える間に横へ移動し、そのままエンドゾーンへ進入して初めてのタッチダウンに成功。その瞬間、敵も味方も、観客も飛び跳ねて喜び、皆が彼のもとへと集まって祝福している。

これにはマッカーディコーチも、協力してくれたティーズ・バレー高校の選手たちに感謝。お互いが握手し、抱き合って喜び合う姿を見て「33年間のコーチ人生で最も素晴らしい瞬間の1つ」だったと振り返っている。当のグレーズくんも「まだ興奮しているよ」と、初めてのプレーに感激。アメフトと仲間の良さを改めて知った彼は、今後も勉強を重ねて「いつかアメフトを教えたい」と、コーチになるという新しい夢を抱き始めたそうだ。

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