お坊さんは17年逃亡の脱獄犯、中国警察の一大捜査キャンペーンで発見。

2011/11/02 07:10 Written by Narinari.com編集部

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先日、中国・陝西省宝鶏市で、刑務所脱走後に行方をくらましていた男が逮捕された。この男、逃亡中は出家してお坊さんとして第二の人生を送っており、一寺院を管掌する住職にまで“出世”していたが、警察の努力もあり、17年ぶりに逮捕されたという。

中国紙華商報などによると、この男、張西存が刑務所に収監されていたのは、今から17年前の21歳のときのこと。放火と窃盗の罪で裁判所から懲役12年の罪を言い渡され、1984年9月に馬欄刑務所に収監された。以来、張は10年間囚人生活を送っていたが、刑期が残り2年となった1994年10月6日に他の囚人と共謀。刑務所から脱走してしまった。

もちろん、警察はすぐに捜索を開始したが、張の行方に関する有力な手掛かりは入手できず。それもそのはず、張は刑務所を脱走後しばらくは太白県の農家でひっそりと暮らし、約1年が過ぎた1995年9月には身分を偽って同県内のお寺に出家していたからだ。

そんな彼が17年も過ぎた今ごろになって逮捕されたのは、中国警察が全国の指名手配犯を一人でも多く逮捕するべく、ネットを活用した“清網行動”という一大捜査キャンペーンを開始した影響が大きい。キャンペーンの効果はすぐに現れ、警察が捜査のために張の地元を訪れた際には、市民から「昔、張に似た人物を一度だけ見たことがあるが、そのときはお坊さんの格好で、(張であるかどうかは)特定できなかった」との有力情報を入手することができた。指名手配中の張がなぜわざわざ危険を犯してまで帰郷していたのかはわからないが、長年留守にしている実家の様子が気になり、お忍びで戻っていたのかもしれない。

この情報を入手した警察はすぐにいくつかのチームを編成し、眉県、太白県、扶風県、鳳県にあるお寺の一斉捜査を開始。すると、鳳県の柏林禅寺にいる“釋精悟”というひとりのお坊さんの存在が浮かび上がってきた。“釋精悟”は陝西省仏教協会理事、宝鶏市仏教協会常務理事、鳳県仏教協会会長、鳳県柏林禅寺住職、鳳県正協委員などを務める身分あるお坊さんだったが、警察による慎重な捜査の結果、10月22日、最終的に“釋精悟”と張西存が同一人物であると判断。張の17年間にも及ぶ逃亡劇がついに終わりを迎えた瞬間だ。

張は逮捕後、すぐに刑務所に引き戻されたが、残念なのは彼がお坊さんとしてはそれなりの名声を得ていたこと。張は市民からお布施を募り、文化大革命時に破壊されていたお寺の一部を修復したり、市民に仏道を熱心に説いたりするなど、当地では信望の厚いお坊さんだったようで、逮捕を知らされた地元民の中からは張を惜しむ声も出ているそうだ。

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