都市部に緑溢れる“垂直の森”、最上階まで木々に覆われたマンション。

2011/10/31 03:29 Written by Narinari.com編集部

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人が集まる世界の大都市の多くは、開発によって自然が失われ、コンクリートジャングルと化している。人々が利用する建物の整備が求められるためとはいえ、一度失った自然を取り戻すのは難しいものだ。そうした状況に一石を投じようと、イタリアの著名建築デザイナーが多くの植物を取り入れた緑溢れるマンションをデザインし、現在ミラノで建設中だという。

公式サイトや英紙デイリー・メールによると、この建物は2012年末までの完成を目指して建設されている高層の建築物「ボスコ・ヴァーティカーレ」。“垂直の森”という意味のボスコ・ヴァーティカーレは、110メートルと76メートルのツインタワーで構成されているが、驚くのはこれから出来上がる予定の外観だ。一般的に平面が屋上まで続いている外壁部には、四方にいくつも出っ張った部分が作られ、そこにたくさんの木や植物が植えられる予定。完成予想図は、建物のほとんどが緑に覆われた外観になっており、その姿は文字通り“垂直の森”だ。

この建物をデザインしたのは、イタリア・ミラノで建築事務所「ボエリスタジオ」を運営し、世界的な建築デザイナーでもあるステファノ・ボエリ氏。以前、植林事業に関わった際に“垂直の森”のアイデアを思い付いたボエリ氏は、2006年に今回の建物をデザインしたという。世界の大都市と同様、街が発展したミラノでも新たに開発される土地は大事な資源。そこで、多くの人が生活できる高層マンションを建てると同時に、開発によって自然が失われないよう考えた結果、ボスコ・ヴァーティカーレのデザインが完成したとされている。

公式サイトの説明では、両棟には場所に応じて「3、6、9メートルの高さ」木が植えられる予定で、その総数は900本。さらに、木の周りには多くの植物も育てられ、これらの植物が建物内で生活する住民たちに都市部の汚れた空気を“ろ過”する役目を果たすそうだ。また、放射線や騒音からの保護や適度な湿気をもたらすといい、環境面において建物全体の木や植物で「1万平方メートルの森」と同様の効果が期待できるという。

もちろん、高所から木が落下したら一大事とあって、ボエリスタジオでは風力テストを行って強風に耐えうる「さまざまな木をテストした」(デイリー・メール紙より)とも。建設プロジェクト責任者を務める同スタジオのミケーレ・ブルネッロさんは、このボスコ・ヴァーティカーレは「既存の建物とは全く異なる」という新たな試みに期待を寄せている。

ちなみに、各戸の販売価格は決まっており、最も安い部屋は80平方メートル/56万ポンド(約6,850万円)。最も高い部屋は200平方メートル/170万ポンド(約2億円)と、なかなかの価格となっている。

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