スケボーで中国横断5,000km旅、海側の福建省から内陸のチベットまで。

2011/10/18 11:29 Written by Narinari.com編集部

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バックパックを担ぎ、大好きなスケボーに乗って5,000キロの旅に出た男性が中国にいる。彼は自宅のある福建省を出発すると、目指した先は遠く離れた内陸部のチベット。その道中では、列車やバスを使った旅行とは異なる苦労が多々あったそうだ。

中国紙海峡都市報などによると、この男性は、自然と旅、そして何よりもスケボーをこよなく愛する26歳の林敏さん。彼はスケボーに乗って旅をしたいと、これまで台湾一周の旅や中国最北の都市・漠河までの旅、中国で最も早く太陽が登る場所として知られるフエンへの旅など、さまざまなプランを思い描いてきた。しかし、なかなか実現には至らないまま2011年を迎える。

考えているだけではいつまで経っても旅に出られない――そう一念発起した彼は、今年4月、地元(福建省福州)からチベットのラサまで、全行程5,000キロに及ぶスケボーの旅に出発する。4月1日午前0時にスタートしたこの旅には、予算的な都合で最低限の食料や衣服を詰め込んだ約20キロのバックパックを持参したのみで、テントはなし。そのため、夜になると原っぱでの野宿はもちろんのこと、下水管の中や路上生活者のそば、荒れた寺などで寝るような毎日を過ごしながら、少しずつ歩みを進めていった。就寝時には汗まみれの彼を多くの蚊が襲撃してきたそうで、蚊から身を守るために、鼻の穴だけ肌を露出したミイラのような格好で寝ることもあったという。

また、寝る場所の確保以外にも、旅の道中では林敏さんを悩ませる問題があった。それは食事。広大な中国の横断旅行ゆえ、途中には街がなくて食料が手に入らない場所も多い。そのため、食事はバックパックに詰め込んだビスケットやハム、ザーサイ、インスタントラーメンなどを節約しながら少しずつ食べる日々が続いた。

加えて、行程の全体を見渡せば、福建省からラサまでの道のりは徐々に高度が上がっていく“上り”が中心で、スケボーに乗ることができない場所が多かったことも悩みの種。舗装されていない荒れた山道では、ひたすら歩き続けなければならない日が続くこともあった。「毎日平均して50キロぐらいは進んでいたのですが、そのうち30キロほどは歩いていました」というほど。そんな過酷な旅の結果、スケボーの車輪は5セット、靴も4足は使い物にならなくなったそうだ。

ただ、旅は苦しいことだけではない。中でも林敏さんにとって思い出深い出来事となったのが、道中で知り合った旅仲間と過ごした誕生日だったという。3人で海抜5,000メートル超の米拉山に登り、一緒に華やかな誕生日パーティーを楽しんだ。

また、彼はケータイを使って旅の写真などを微博(中国版ツイッター)に随時アップロードしており、それを見た人たちから多くの励ましの声を受け取るとともに、微博で彼の挑戦を知った旅先の人たちが、無料で宿や食事を提供してくれることもたびたびあったそうだ。こうした出逢いやサポートが、彼を多くの面で勇気づけたのは間違いない。

やがて時が流れ、林敏さんが地元を出発してから約5か月が過ぎた9月9日、ついに微博で「ラサへの到着と旅の終了」を宣言し、旅で出会った多くの人々、そして微博で応援してくれたネットユーザーに感謝した。長旅で得たさまざまな知識や経験、仲間の存在は、彼にとって一生の宝物になったことだろう。

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