謎の死因は「人体の自然発火」、アイルランドで発見された焼死体に結論。

2011/10/04 03:20 Written by Narinari.com編集部

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昨年12月、アイルランドの住宅で76歳男性の焼死体が発見された。ところが、現場を見た警察や消防は、大きな謎にぶつかってしまう。「男性はなぜ燃えてしまったのか」。家の中にも関わらず、焼けていたのは男性の体以外、倒れていた場所の床と天井部分だけ。外から人が入った形跡も、自殺を試みた形跡もなかったのだ。そして先日、これまで男性の死因を調べていた検死官が1つの判断を示し、その結論が欧米で話題を呼んでいる。

アイルランド紙アイリッシュ・インディペンデントによると、この事件が起きたのは2010年12月22日の午前3時ごろのこと。同国西部ゴールウェイの76歳男性宅で火災警報装置が鳴り響き、これに近所の人が気付いた。この住民が外へ出ると、男性宅からは黒い煙が出ていたため、男性の家のドアを叩いたものの応答はなし。その後、別の隣家へも知らせ、警察と消防がすぐに駆けつけたとされている。

男性宅に入ると、警察や消防は「(男性が)小さな居間で、暖炉に頭を向けて仰向けになった」(アイルランド紙アイリッシュ・ヘラルドより)状態で倒れているのを発見。その体は激しく燃えており、間もなく死亡が確認された。しかし、現場の状況を捜査していくにつれ、関係者の間に1つの大きな疑問が浮かんでくる。それは、「男性はなぜ燃えてしまったのか」という点だった。

家の中で男性以外に火が付いた形跡が残っていたのは、彼が横たわっていた場所の床と天井部分だけ。この点から、火は男性自身だけに付いたと推測されたのだが、それならば男性は「なぜ燃えたのか」が大きな謎だった。まず、関係者は最も有力と考えられた暖炉を調べたが、徹底した調査の結果「暖炉の火が男性の死に繋がる火災の原因にはなっていない」(アイリッシュ・インディペンデント紙より)と判明。そこで、別の線から男性に付いた火の元を調べていったという。

ところが、家の中には男性に火を付けるような原因となる物体は皆無。さらに、男性に火を付けた人物がいないか、事件前後の時間に男性の家に誰か来なかったかを調べたそうだが、そうした形跡も証拠も見つからなかった。また、男性が高血圧と糖尿病を患っていたことから、病理学者による死因の分析も行われたが「それらによる心臓麻痺などの死ではない」と結論づけられ、これでますます男性に火が付いた原因究明が重要となった。

それから原因が見つけられぬまま時間ばかりが流れ、男性の遺体もすでに火葬されてしまい、直接体を調べるのは不可能な状態に。結局、状況証拠などをもとに熟考した検死官は、男性の死因を「自然発火」と導き出した。これまでこの事件の調査にあたった検死官は、「この火災は徹底的に調査を行った。その結果、人間の自然発火というカテゴリーに適合するという結論を残した」と話し、具体的な証拠によるものではなく、消去法で導いた苦渋の結論であることを示唆している。

もしそれが事実なら、検死官が「25年調査をしていて初めて下した結論」という男性の死因は、アイルランドでも「初めてのケース」とのこと。驚きの死因判明に、この報道は欧米を中心に話題となっている。

米放送局CBSでは、特に脂肪が多い人の場合は「人間の体はろうそくの代わりになる」との専門家の指摘を紹介。暖炉や“何か”から服などに付いた火に気付くのが遅れると、脂肪でゆっくり長く燃え続ける可能性があるそうだ。かくして謎がすっきり解明されたとは言い難いものの、何とか死因の結論が下された男性。その説明に、男性の家族は「満足している」という。

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