洋上に浮かぶ“円形の大型船”、モナコのヨットショーでデザインが話題に。

2011/10/03 05:54 Written by Narinari.com編集部

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一般的に日本で“ヨット”と言えば、風を受ける帆を操作して海面を滑るように進む、少人数乗りの船のイメージが強いかもしれない。しかし、“ヨット”はそれ以外にも、レジャー用の大型船を指す言葉としても使われている。さる9月21日から24日にかけて、モナコではそんな大型船も含むさまざまなヨットを集めた、毎年恒例の「モナコ・ヨットショー」が開かれた。そこで発表された英国の船舶デザイン企業による新型ヨットのデザインが、“革新的”と注目を集めているようだ。

この新型ヨットは、英南部サウサンプトンにある船舶デザイングループのBMT・ナイジェル・ジーが発表した「プロジェクト・ユートピア」。英紙デイリー・メールなどによると、数々の船体デザインを手掛け、定評もある同社が今回のプロジェクトで目指したのは、これまでのヨットの形に捉われない既成概念の打破だ。現在や過去に縛られることなく、全く白紙の状態から斬新なヨットのデザインを生み出したという。

同社のサイトに掲載されている円形の船体のイメージは、まるで海底資源発掘などのために、洋上に建設された施設のよう。中央にはプールが配置され、ヘリポートも4つある。大きさは縦横100メートルと巨大で、海面から65メートル顔を出す船体の中には、11の宿泊設備のほかに「店やバー、レストラン」(デイリー・メール紙より)もある。

このプロジェクトに関わったジェームズ・ロイディレクターは今回のデザインにあたり、ヨットを輸送手段としてではなく、“島”だと考えたという。そのため360度の展望やヘリポートの確保など、滞在型施設としての充実度を高めた作りを追求した結果、円形の船体に行き着いた。ちなみに、洋上施設ではなくあくまでもヨットなので、「ゆっくりなスピードで」動けるとのことだ。

人が滞在できる構造物の中も7階層に分けられ、ゆったりとしたスペースで海上の時間を楽しめそうなこのヨット。ただ、これはあくまでも将来的なデザインということで、気になる着工の予定は現時点では未定だという。ロイディレクターも実際の建設には、同社だけでなく建設に関わる技術者らがさらなる高みを目指し、密接に協力しあうことの必要性を説いており、現時点ですぐに建設するのは難しいようだ。

しかも、どの程度のコストがかかるのかも「まだ正確な数字を出していない」とも。しかしこのヨットがもし建設されるとなれば、それは船舶業界の進歩の証ともいえる。“その日”がいつやって来るのか、楽しみに待ちたいところだ。

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