妻の病気を機に“思い出”作り、夫婦でハンバーガーチェーン722店舗行脚。

2011/08/18 20:21 Written by Narinari.com編集部

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米国に、妻の病気をきっかけに“人生の思い出”を残していこうと決めた70代の夫婦がいる。その“思い出”は、2人が50年近くも愛し続けるハンバーガーチェーンの全店舗(722店)制覇の旅。現在、夫妻は米国内の店舗を巡る旅を続けているという。

米地方紙コーパスクリスティ・コーラータイムスによると、この旅を始めたのはテキサス州ロックポートに住む75歳のカール・ヘプナーさんと、73歳の妻キャロルさん。彼らがこよなく愛するハンバーガーチェーン「Whataburger」に出会ったのは、今から48年も前の1963年のことだった。1950年にテキサス州にオープンしたこの店のハンバーガーを初めて口にした2人は、あまりの美味しさに感激。その後、軍の任務で世界中を飛び回った2人は各地でハンバーガーを食べたが、「これよりうまいハンバーガーは世界にない」と思うに至ったほど、「Whataburger」の味の虜になったそうだ。

今では「朝は毎日、昼もほとんど」(米フード情報サイトbites.today.comより)このハンバーガーを口にするというヘプナーさん夫妻。そんな2人に今後の人生を考えさせる出来事が今年初めに起きた。それは、キャロルさんの目に血液のガンが見つかったこと。妻が23日間にわたる放射線治療を行う中で、ヘプナーさんは残された人生の時間に思いを巡らせるようになり、「家で過ごしていくより、ほかに何かをしたい」と、頭に浮かんだのが「Whataburger」の全店舗を巡る旅だった。

実はこのアイデアには伏線がある。昨年8月、行きつけの地元の店舗を訪れたカールさん夫妻は、「Whataburger」が創業60周年を記念して、エッセイコンテストが行われることを知った。そこで夫婦が「なぜ1番のファンなのか」(コーパスクリスティ・コーラータイムス紙より)をレポートにして応募。すると、カールさんの作品が優勝となり、2人には店から1万ドル(約78万円)の賞金が贈られたのだ。

その際に2人はこの内の7,000ドル(約54万円)分について、「7ドル(約540円)のギフトカード1,000枚」での受け取りを求めると、地元警察や消防署、生活困窮者や慈善団体に寄付。店や地元にも大きな感動を呼んだそうだが、さらにカールさんはコンテスト優勝のお返しとして「ほかの『Whataburger』の店舗にも行ったほうがいい」と考えたようだ。そこから、米国内10州に広がるWhataburger全店舗722店を巡る旅の計画が立ち上がった。

第一歩として、まずは地元テキサス州内を車で周り始めた夫妻。「Whataburger」ではコンテストで知られた有名人だけあって、先月末に訪れた225店舗目ではマスコットが2人を出迎え、店側も「ようこそカール、キャロル」と書かれたケーキを用意する歓迎ぶりだったという。

夫妻は全スタッフと握手をすると、メッセージを書いてもらうためのカードを渡し、いつものようにハンバーガーなどを注文。カールさんはレシートとメッセージカードを受け取ると、訪問の記念としてスクラップブックに大事にしまったそうだ。

これまでに7,000食以上を食べても、飽きることなく「Whataburger」のハンバーガーを愛し続けるヘプナーさん夫妻。まだまだゴールまでの道のりは長いが、2人は食べる喜びを噛みしめながら、お互いの大切な思い出作りも目一杯楽しんでいるようだ。

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