一晩のうちに道路が畑に変身、中国の開発区でおきた“畑偽装”の理由は。

2011/07/29 16:52 Written by Narinari.com編集部

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昨日まで何の変哲もなかった家の前を走る道が、朝になったら突然畑に変わっていた……。もしそんな光景に出くわしたら、ほとんどの人が何が起きたのか理解できず、ただただビックリすることだろう。中国では先日、そんなことが本当に起きた。

中国メディア鳳凰網などによると、この一件が報告されたのは湖北省襄陽市にある双溝工業園。ここで暮らす農家の毛さんの話では、今年6月、「一晩のうちに道路が畑に変わった」そうで、しかも1本の道ではなく、数本の道が“畑化”したという。それらの道はすべて土で覆われ、野菜の種が蒔かれていた。

もともとこの土地は周辺農民の所有地であったが、昨年5月、工業園開発を担う地元政府が強引に工事に着手、道路建設を開始した。農民たちは反発したものの、地元政府は少額の補償金を支払うだけで、「いつか開発区に入るお金で土地代を支払うから」との口約束で工事を続けてしまう。農民たちは苦虫をかみつぶすような思いだった。

そうした中、今度は上級政府国土部の衛星写真検査により、この工業園で違法な土地を工事していることが発覚した。国土部は地元政府に対して即刻工事を中止し、もとの状態に戻すよう勧告。これはもともとの所有者である農民にとって、喜ぶべき道筋ができたはずだった。

ところが、地元政府はさらに一枚上手。今年6月に上級政府の検査の目を誤魔化すため、一時的に大量の土で道を覆い、かつそこに野菜の種を蒔いて道を“畑”と偽ったのだ。違法な工事はしていないとアピールし、正式な許可証を発行してもらった後、堂々と開発を行うことが狙いだ。結局、一旦は“畑”となった道は1か月もすると土が取り除かれ、再び元通りの道になったという。

もちろん、一部始終を見てきた地元農民がこれを黙って見過ごすわけはない。地元政府の姑息なやり方に怒った農民はメディアに告発し、ついに事態が明るみになったというわけだ。

現在の中国では急速な経済発展を背景に、各開発区などで投資企業の熾烈な誘致合戦が繰り広げられている。問題となった今回の工業園では、いち早くインフラ設備を整えて企業誘致活動を活発化させたいという目論見があったのは容易に想像できるが、道を“畑”にカモフラージュしてまで開発を強行するケースは珍しく、中国でも大きく報道されている。

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