免許写真でザルをかぶるワケ、空飛ぶスパゲティ・モンスター教って何だ?

2011/07/23 04:53 Written by Narinari.com編集部

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パスポートや運転免許証などに使われる身分証明の写真は、それが本人と判るようにいくつかの決まりがあります。そのひとつに「無帽」がありますが、欧米では例外が認められており、「宗教的な理由で普段から着用しているもの」については帽子やかぶり物を着用したままでも問題ありません。

英放送局BBCや英紙デイリー・メールなどによると、先日オーストリアでは、ニコ・アルムさんという男性が3年前から申請していた「宗教上のかぶり物」がようやく認められることになり、これを着用した写真付きの免許証を手に入れることができました。

アルムさんがかぶっているモノ、それは料理で使うプラスチック製の湯切りザル。なぜにザルが宗教上のかぶり物なのか。実は彼、“空飛ぶスパゲティ・モンスター教団”の信者なのです。そしてほかの信者がそうするように、彼は自らを「パスタファリアン」と呼んでいます。

キリスト教徒の多い米国では、いまだに進化論を否定する人々が多く、宇宙自然界の進化は“偉大なる知性”がデザインして進められたものだという「インテリジェント・デザイン(ID)説」が1990年代ごろから唱えられ始めました。このID説を公共の学校でも教えるべきだという意見が特に保守的な米国人の間で広まり、カンザス州では一時それが可決されたほどです。

“空飛ぶスパゲッティ・モンスター教団”は、こうしたID説支持者に反発するため、2005年に創始されたジョークの宗教。その教義は聖書をとことんパロディ化したもので、全世界は空飛ぶスパテゲィ・モンスター(長い触覚を持ち、イカのような姿をしている)が創造したと唱えています。

ちなみに、信者は「アーメン」のかわりに「ラーメン」と言うそう。もちろん、信者たちはこのすべてがジョークであることを理解していますが、そのジョークやパロディを使い「ほかの宗教が主張しているナンセンスな愚行も、宗教だと言い切れば『真実』になる矛盾」を痛烈に皮肉っているのです。

スパゲティだけでなく麺類すべてが、彼らにとっての“偉大なる知性”スパゲッティ・モンスターの触手の象徴であり、聖なる食べ物なのだそう。さらに、それを調理するときに使用するザルは聖なる道具であり、それをかぶることは信者の信仰を象徴する……。

アルムさんはそう主張して、ザルをかぶった写真で免許証の申請を行いました。しかし、認められるまでは困難の連続で、最終的には精神科医から「彼の精神状態は平常で、車の運転も問題なし」という証明書まで提出しなければならなかったのです。

なにはともあれ、最終的にはアルムさんの忍耐強さが今回の免許証発行に繋がったわけですが、彼は「“空飛ぶスパゲティ・モンスター教”が、オーストリアで法的に宗教だと認められるまで」自分の伝動活動は終わらない、と自身のブログなどで語っています。

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