路上生活の男性が兄弟の遺産相続、行方捜す親族の依頼受けた探偵発見。

2011/07/12 07:46 Written by Narinari.com編集部

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それぞれに様々な事情を抱え路上生活をするようになった人の多くは、家族や親族との接点を失っている、もしくは自らの意思で絶っているかもしれないが、当然のことながら心配している身内もいる。せめて血の繋がった家族にだけでも日頃から消息を知らせておけば、時には大きな力となってくれることもあるだろう。米ユタ州で少なくとも4年間路上生活をしていた男性は、先日、親族に雇われた探偵が2か月かけて捜索をした末、無事に発見された。なぜ彼は“探された”のか、その理由は彼を気にかける親族たちの思いがあったようだ。

このたび探偵によって所在を突き止められたのは、ユタ州ソルトレイクシティーで路上生活を強いられていた、60代と伝えられているマックス・メリツァーさん。それまでの経緯については不明だが、少なくとも「4年間の路上生活」(米地方紙デザレット・ニュースより)を送っていた彼は、この間、厳しい毎日を過ごしていた。「ショッピングカートに荷物を詰め」(英紙デイリー・テレグラフより)、毎日公園など様々な場所で寝泊まりしていたそうで、時には心ない人から暴行を受けたほか、所持金や腕時計を奪われたことも。特にこの2年間は「荒れた環境の中にいた」(デザレット・ニュース紙より)という。

そうした苦しい生活は本人との連絡で知っていた、ニューヨークで暮らす彼の親族たちは「しきりに面倒を見たがっていた」。しかし、自分の立場が心苦しかったのか、メルツァーさんは次第に親族との連絡も疎遠になり、昨年9月の手紙のやり取りを最後に、彼からの連絡は途絶えてしまったそうだ。

そして迎えた今年、親族はどうしてもメルツァーさんの所在を突き止める必要性に迫られる。きっかけは彼の兄弟の死だった。具体的な金額は明かされていないが、この兄弟は生活に困らないほどの財産を遺して亡くなり、メルツァーさんにも相続権が発生。ところが、彼の消息を掴めていなかった親族は、遺産を何とか彼に渡したいとニューヨークの法律事務所に相談し、法律事務所はユタ州で探偵に捜索を依頼、4月からメルツァーさんを探し出す任務にあたったという。

探偵は2か月にわたって地道な捜索活動を行った後、地元ラジオ局でも話題を取り上げてもらい、広く情報提供を募った。すると、ラジオを聞いたリスナーから「いくつか役に立つ」(米紙ニューヨーク・デイリーニュースより)目撃情報が寄せられ、ラジオ局のスタッフも協力して付近の聞き込みを実施。そして、メルツァーさんをよく知る男性から最近の情報を聞き出すと、6月17日、探偵はついに公園にいる彼を発見した。

探偵はメルツァーさんに声を掛けると、その場でニューヨークの親族へ連絡を取り、彼に電話を渡したという。その様子を見た探偵は「彼も嬉しかったと思うよ」(デザレット・ニュース紙より)と話し、発見の喜びもひとしおだったようだ。

親族らは彼をニューヨークへ連れて帰りたいと希望したそうで、これからは「普通の生活を送れるはず」(ニューヨーク・デイリーニュース紙より)というメルツァーさん。今回は身内の力に助けられただけに、彼らのためにも再び希望ある新たな生活へと踏み出してもらいたいものだ。

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